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シュンツ場におけるツモ牌相理論とは? 麻雀漫画「3/4 それから…」からの考察

トイツ場とは何か? トイツ場概論
Version 1.0.0

シュンツ場におけるツモ牌相理論については、「3/4それから…」の中でわずか3局ですが描かれています。はたしてシュンツ場におけるツモ牌相理論とは、どういったものなのでしょうか。

トイツ場を崩され、トイツの重なりを手牌に活かせなくなり、苦境にたたされる堀場。ダントツだったのが、狙い撃ちされ逆転されかかっている。このギリギリで踏ん張れるか…

とびツモ牌相

東1局・東2局と松橋が連続でツモ和了。ここでまた松橋が大物手を決めると、優勝が決まってしまう…

東3局 ドラ5索

1萬6萬8萬3筒3筒5筒7筒2索4索6索6索東西 ツモ1索 捨て西
1萬6萬8萬3筒3筒5筒7筒1索2索4索6索6索東 ツモ2筒 捨て1萬
6萬8萬2筒3筒3筒5筒7筒1索2索4索6索6索東 ツモ5索 捨て1索
6萬8萬2筒3筒3筒5筒7筒2索4索5索6索6索東 ツモ4筒 捨て東
6萬8萬2筒3筒3筒4筒5筒7筒2索4索5索6索6索 ツモ6萬 捨て8萬
6萬6萬2筒3筒3筒4筒5筒7筒2索4索5索6索6索 ツモ7索 捨て6索
6萬6萬2筒3筒3筒4筒5筒7筒2索4索5索6索7索

戸川
戸川

なに⁉ 5索ドラ受けのリャンメンを捨てて、カンチャンを残した…‼

6萬6萬2筒3筒3筒4筒5筒7筒2索4索5索6索7索 ツモ6筒 捨て3筒 リーチ
6萬6萬2筒3筒4筒5筒6筒7筒2索4索5索6索7索 ツモ3索

戸川
戸川

なぜ3索が読める⁉
もしやこれもツモ牌相なのでは…⁉

魚池
魚池

スジを集めてアンコにするだけがツモ牌相じゃねぇのさ
シュンツ作りこそツモ牌相の白眉なんだ

この局 堀場のツモは
1索2筒5索4筒6萬7索6筒3索
ソーズは奇数 ピンズは偶数のツモだったわけである

堀場は6巡目の7索をツモった時点で、次は3索9索を引く確信を持っていた
だから自信をもってカン3索のリーチをかけたのである

1筒1筒3筒3筒のように、間が1つ抜けて重なるツモ牌相を「とびトイツ」と呼ぶが、今の堀場のツモは「とびツモ」といえるだろう

と、説明があるわけですが、「なるほどなぁ」となるでしょうか。まぁ、これはそういうものと思ってください。でないと話が先に進みません。そのうえで、なぜ堀場が6索を切ったのかという話です。

さて、問題の6索切りシーンです。

6萬6萬2筒3筒3筒4筒5筒7筒2索4索5索6索6索7索

ピンズもソウズも「リャンメンカンチャン」の形になっています。受け入れは「1筒4筒6筒3索5索8索」です。そのうちどの受けを消しても良いかという問題です。

ソーズは奇数でピンズは偶数のツモですから、上記の受け入れのうち「1筒8索」は消せますね。またシュンツ場ですから、牌が重なる「4筒5索」も消せます。つまり上記の理屈から、堀場は今後「6筒8筒3索9索」のツモを予想していることになり、この受け入れで必要なのは6筒3索だけになるのです。

であれば、3筒切りで「1筒4筒」受けを捨て、6筒受けだけを残す選択もあり得ます。なぜ堀場は、5索ドラ受けのあるリャンメン受けを捨てる6索切りになったのでしょうか。実はその理由は、他家の捨て牌にあるのです。

この時の他家の捨て牌はこうなっています。

東家 松橋 1筒白4索2索7萬6筒
南家 滝  9筒8萬9筒南3筒3索
西家 布施 4筒2筒7萬9萬1索4萬

親の松橋が内側からのカンチャンターツ外しがあり、手が早そうです。布施はソウズに染めてそうです。それを踏まえて考えると、「5索8索」「6索9索」が将来的に危険になりそうです。

それに対して3筒は、松橋に対してはスジになっています。滝に対しては現物です。布施はソウズに染めていますから、ピンズは安全です。ということで全員に対して安全な3筒を残して、将来危険牌になりそうな6索を先に切ったのではないでしょうか。

堀場はなかなか繊細な打ち手ですね。

一色ツモ牌相

流れは松橋に向いたかと思ったが、前局の堀場の和了で、またわからなくなった…

東4局 ドラ4筒

4萬6萬8萬3筒4筒6筒6筒3索4索5索6索7索8索 ツモ9萬 捨て3筒
4萬6萬8萬9萬4筒6筒6筒3索4索5索6索7索8索 ツモ7萬 捨て4筒 リーチ
4萬6萬7萬8萬9萬6筒6筒3索4索5索6索7索8索

戸川
戸川

な…なんだ⁉
メンタンピン4筒ドラ1の手を
わざわざリーチのみに……!

堀場のリーチ宣言牌の4筒をポンして、「2索5索」待ちの聴牌に取る松橋。好形聴牌にとれた松橋の方が有利に見えた。しかし結果は、堀場のツモを喰いとった形でツモってきた5萬で、松橋から堀場への放銃となる。

戸川
戸川

ポンがなければ、この5萬は堀場の一発ツモだった…

滝

次のツモを完全に読み切っているのか…

配牌からのツモ牌相を理解して、俺は堀場のすべてをわかったつもりになっていた。しかし、それはほんの一部に過ぎなかったんだ…

この局、堀場の思考はどういうものだったのでしょうか。それを考えてみましょう。この局の堀場の捨て牌はこうなっています。

裏牌不明西1萬3筒4筒となっています。つまり堀場のツモは1萬9萬7萬と来たわけです。マンズの奇数ツモですね。ならば前章にあったとおり、3萬5萬を引く確信を持ったリーチだったのでしょうか。

とはいえ、堀場は9萬ツモの時点で両面ターツ外しを開始しています。1萬9萬のツモを見ただけで、マンズの奇数ツモを予測できるのでしょうか。むしろ西1萬9萬と来ているので、「1・9字牌ツモの流れ」が考えられそうです。

あるいは不明な最初のツモが実は3萬だったなら、3萬西1萬9萬で奇数のツモと考えるのは分かります。ですが、それだと

4萬6萬8萬3筒4筒6筒6筒3索4索5索6索7索8索 ツモ3萬

ここから3萬をツモ切りすることになります。何も情報がないなら、さすがに6萬8萬のカンチャンを外すでしょう。いやもしかすると配牌は

6萬8萬3筒4筒6筒6筒3索4索5索6索7索8索西

こうなっていて、そこから3萬ツモなら、そのままツモ切りするのは考えられます。ですがそうすると次のツモが4萬で、西切りになるはずです。すると堀場のツモは3萬4萬1萬9萬となり、奇数ツモとは言い切れません。

ですが、これはこれでマンズツモ、「一色ツモ」の流れと考えて、3筒4筒のリャンメンを払ったのは分かります。つまり不明の最初のツモは3萬もしくは2萬で、堀場はマンズに寄せていったのではないかというのが、私の考察です。

(でもかすかに見えるところからは、不明の牌は1筒っぽいんだよなぁ…うーん…)

手役に沿うツモ牌相

シュンツ場のツモ牌相を解こうと試みる滝。しかしその一端もつかめない。堀場のツモ牌相はトイツ手、シュンツ手すべてに通用するものだった。あまりの堀場の強さに、ギャラリーの誰もが堀場の優勝を疑っていなかった

しかし、堀場楽勝かとおもわれたオーラス…全員に逆転の目が…

南4局 ドラ中

6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索5索8索9索東南 ツモ6萬 捨て東
6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索5索8索9索南 ツモ4萬 捨て南
4萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索5索8索9索 ツモ6索 捨て9索
4萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索5索6索8索 ツモ4索 捨て8索
4萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索5索6索8索 ツモ8筒 捨て8筒
4萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索4索5索6索 ツモ5萬 捨て6筒
4萬5萬6萬6萬7萬8萬6筒2索3索3索4索5索6索

戸川
戸川

ウソだろ⁉
なぜ絶好の3メンチャンを取らない⁉

4萬5萬6萬6萬7萬8萬6筒2索3索3索4索5索6索 ツモ4筒 捨て2索
4萬5萬6萬6萬7萬8萬4筒6筒3索3索4索5索6索

戸川
戸川

そうか三色にするために、危険な6筒を浮かせ打ちしたのか
だがなぜアガりさえすればいい局面で、三色に固執するんだ?

4萬5萬6萬6萬7萬8萬4筒6筒3索3索4索5索6索 ツモ5筒

戸川
戸川

そうか堀場さん、今のあんたの手牌は三色のツモ牌相だったんだ
ツモ牌相は手役に沿うこともあるんだね

とまぁ、戸川さん大絶賛ですが、この牌譜をもう少し深堀してみましょう。

問題の6筒切りシーンです。

4萬5萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒2索3索3索4索5索6索

当然3索を切れば「1索4索7索」待ちになります。ツモ牌相が手役に沿うなら、ピンフという手役に沿ってもいいのではないかと思われます。

ですが、これまでの堀場のソウズのツモは6索4索です。そこからソウズは偶数のツモだと、堀場が考えたのなら、「1索4索7索」はツモれないと判断に至ったのでしょう。

あらためて堀場のツモ牌を確認しましょう。

6萬4萬6索4索8筒5萬

こうなれば、「456」の三色になりそうだと思いますよね。まぁ「456」とは言わずとも、中張牌の流れなのは間違いありません。

ならば、2索を切って

4萬5萬6萬6萬7萬8萬6筒6筒3索3索4索5索6索

このように、タンヤオの6筒3索のシャンポン待ちに取ることができます。「1索4索7索」はツモれないと判断したとしても、なぜこのシャンポン待ちの聴牌を、取らなかったのでしょうか。「456」の三色を狙うにしても、とりあえずこの聴牌にとっておいて、そこからの変化を待てばよいのではないかと思われます。

ただよく考えれば、この場は松橋によって「トイツ場」を壊された後にできた「シュンツ場」です。ならばシャンポンの牌をツモることなんかあり得ません。それを期待すること自体無意味なのです。

そこで戸川が言うように三色にするために、危険な6筒を浮かせ打ちしたのです。実際に他家の捨て牌はこうなっています。

東家 滝  中中中7萬8萬發
南家 布施 1索1索2索1萬東3萬
北家 松橋 2索3萬2萬南北

滝はドラの中を手から暗刻落とししたうえで、マンズの両面ターツ外しです。これはよくわかりませんが、ピンズの清一色も考えられます(実際は国士無双)。布施についてはピンズの情報がありませんが、1索トイツ落としや、1萬3萬のカンチャンターツ外しがあり、かなり良い手牌と考えられます。松橋はマンズの両面ターツ外しをしています。「数牌→字牌」ですし、ピンズの一色手でしょう。

滝と布施とは点差がかなり離れているので、聴牌すればリーチがかかると思われます。なのでまた聴牌はしていないだろう。しかし特に布施は、捨て牌から考えて次にもリーチが来そうです。松橋からは生牌の字牌が余り出したので、かなり危険です。ピンズが余っていないので、まだギリギリイーシャンテンだと判断してもいいでしょうか。

自分のツモの流れから「1索4索7索」はツモれない。最初の6萬以外は、重ならないように中張牌をツモってくる、いわゆる「シュンツ場」になっている。そして「456」の三色になりそうだ。さらにピンズが高い。堀場が6筒を切ったのは、そういう状況だったのです。

事実、次巡に布施からリーチで、待ちは「6筒9筒」でした。シャンポンに構えて、「456」の三色に変化させていたら、布施への打ち込みで逆転となっていました。

さらに松橋からの同巡リーチがかかり、待ちは「2筒3筒4筒5筒」待ちでした。その次巡に堀場が5筒ツモって和了ったのですから、堀場が「456」にとっていなければ、5筒で打ち込みか、あるいは降ろされて、松橋がツモって逆転だったでしょう。

まとめ

ということで、シュンツ場におけるツモ牌相について、「3/4それから…」から考察してみました。ポイントは3つです。

「とびツモ」と言うべき、偶数、あるいは奇数のツモ。「一色ツモ」と言うべき、同じ牌種のツモ。最後は「手役に沿うツモ牌相」です。これらがシュンツ場におけるツモ牌相として、あるのかないのか、信じるか信じないかはあなた次第です。

あと今作「3/4それから…」の闘牌原作が「福地誠氏」と「村田光陽プロ」でした。前作の「3/4」よりも、今作の方が明らかに闘牌の精度が上がっているように感じます。素晴らしい。

誤植について

堀場の聴牌外し場面、コミックの牌姿がこうなっていました。

4萬5萬6萬6萬7萬8萬8筒2索3索3索4索5索6索

おそらく6筒8筒の誤植でしょうから、上記ではそれを修正して話をすすめています。あとは戸川が松橋の手牌について「しかも4筒3筒は松橋がアンコってるんだぞ」とコミックで言っていますが、実際はアンコの牌は4筒5筒です。ここも誤植ですね。

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