You Tube で多井・仲林・太・アサピンの4名が、雀魂を打ってその後検討をするという、とても贅沢な企画がありました。
その東1局、アサピンこと朝倉康心プロの打ち筋を見てみましょう。仲林プロが言うには「うまぶったねぇ」ということですが、はたして…
1. ツモ 打
2. ツモ 打
3. ツモ 打
4. ツモ 打 リーチ
5.
第一ツモで5トイツ。チートイツイーシャンテンです。ですが、この時点ではアサピンは鳴いて行く気満々だったそうです。字牌のトイツが全部役牌ですから、鳴いていっても得点的に問題なさそうです。
そして3巡目にチートイツを聴牌します。ここではリーチと行かずダマ聴に構えます。そして次巡単騎でリーチと行きます。
なぜではリーチと行かず、でリーチとしたのか? そして実はそれ以外にもこの中で、面白い選択をアサピンはしているのです。それらについてのプロ4人の検討場面を振り返りながら、私の感じたところを書いていきたいと思います。
即リーチをするか?
東3局 ドラ
東家 渡辺太 25,000点
西家 多井隆晴 25,000点
南家 仲林圭 25,000点
北家 朝倉 康心(アサピン) 25,000点
ツモ
まずここ、リーチするかどうかあるじゃないですか
赤1…もう僕は鳴かないので、まぁまぁリーチですね
ぼくもいっちゃいます
いっちゃいそうだなぁ
リーチすると出和了でも6,400ですから、できることならそうしたいです。
「科学する麻雀」には、6巡目まではダマにして、いい牌を待つと書いてあります。いい牌とは何なのでしょうか。「うに丸式セオリーで勝つ麻雀」と「ブラコン女子大生の最短で強くなる麻雀」には、生牌の筋待ちならリーチと書いてあります。その基準でいえば、今回は筋牌ですからいい牌です。
しかし待ちのリーチは筋にかかっているとはいえ、捨て牌が異様なので、変則手を警戒されるかもしれません。またリーチ宣言牌の筋となりますので、それも避けたいところです。
おそらく、より良い待ち牌か、空切りできる牌を持ってきて、あらためてリーチと行くことをアサピンは考えたのではないかと思われます。いや、しらんけど。
捨て牌がどう見えるか?
そしてこの捨て牌がどのように見えるかについて話が続きます。
でいくと、面子手も否定できないじゃん
否定できないですね
タンヤオがあったっておかしくないからさぁ
めちゃくちゃ、ただ手がいい場合もありますからねぇ
確かに捨て牌は怪しいですが、あまりに情報が少なくて、なんでもありそうという意見のようです。すると、ここで仮にでリーチを受けたとして、ある程度まっすぐに進めることになりそうです。ならは筋だからといって、簡単に出るかは分かりません。
情報が少ないので、捨て牌が怪しいとはいえ、字牌まで恐れていれば何も切ることができません。そのため、字牌は打たれそうです。むしろべったりオリるなら、トイツの字牌から切ることになるかもしれないです。
ただ、字牌への手替わりを待とうと考えても、自分で字牌のトイツを3つも使っています。有効な手替わり字牌は・・の3つしかありません。筋にかからない1・9牌なら、捨て牌か怪しいことから、筋牌と同じような感じになるでしょうか。
碌な手替わりがないなら、即リーチで仕方がないかぁ、という感じでしょうか。ここで待ちリーチといくならそれは、まぁそんなに悪くはないかなぁという程度のリーチになりそうです。自信満々のリーチというわけにはいかないでしょう。
見逃すか?
問題はその次です。ダマ聴に構えたアサピンは、なんと太からのを見逃します。これについて話が交わされます。
東3局 ドラ
東家 渡辺太 25,000点
西家 多井隆晴 25,000点
南家 仲林圭 25,000点
北家 朝倉 康心(アサピン) 25,000点
を見逃したってこと?
いやいやいや、さすがにこれはダメっすね(笑)
これは和了った方がいいんじゃないか。
まぁ、アリ…ナ…多井さんの仕掛けだからなぁ、早いことが多いからなぁ
一鳴きですし、から切り出しているし、けっこうまとまってそう
全員メンゼンなら(この見逃しは)結構ありなんじゃないかと…
ここでは皆さん、西家の多井が仕掛けていることに注目しています。その状況で「手替わり待ちをしている時間があるのか」ということですね。
さらに科学する麻雀には、「あたり牌が出てもロンしない選択」として「6巡目までのチートイツのみ」とあります。今回は多井が最初の方で触れていますが、赤が一枚あります。そのため点数は3,200点です。この巡目・手牌なら少しさみしい点数ですが、それほど悪くはありません。
アサピンは名残惜しそうですが、手牌に赤が一枚ありますし、自分でも「全員メンゼンなら」と言っている通り仕掛けが入っている状況ですから、見逃しはやりすぎだったかもしれませんね。
あらためてリーチをするか?
話の時系列では少し前に戻りますが、アサピンがでリーチをしたことについて、このような話が交わされます。
東3局 ドラ
東家 渡辺太 25,000点
西家 多井隆晴 25,000点
南家 仲林圭 25,000点
北家 朝倉 康心(アサピン) 25,000点
アサピンはこれだと曲げるんだ
そうっすね。
だと完全に出和了期待の待ちかなと思って
の場況も悪くない…と
前段階の切っての単騎リーチだと、が山にあるかどうかは全く不明です。筋になるので出和了は多少期待できそうかなぁ、という感じです。それに対しては、後で仲林が言及しますが、太と多井のの出が早いので、その二人は持っていなさそうです。なのでよりは山に残っていそうと考えられます。
またが3枚河にあることでは両面で考えるとワンチャンスです。筋ほどではありませんが、出和了の期待もないことはありません。
つまりツモ和了で考えると「<」。出和了で考えると「>」です。そのバランスをどう考えるかで、アサピンはツモ和了の方を重視したということでしょう。
見逃しツモ切りリーチの選択は?
アサピンは単騎でリーチと行きましたが、その時点であらためて単騎リーチはどうか、という意見が多井から出ました。
を見逃して、待ちの自摸切りリーチはどうなんですか?
と、出和了ツモ和了含めて、そう和了率の差あります?
は二人は持っていなさそう
枚数の要素の方が大きい気はしますね。
チートイは0切れと1切れだと結構大差だと…
そうっすね。0切れの方が和了やすいっすね。
相当和了やすい
今回の場合は、が一枚切られた状態です。単純な見た目枚数は、は残り2枚、は残り3枚です。1枚しか差がないと思うかもしれませんが、割合では1.5倍です。600円と900円と考えると結構な差に感じます。それに加えて仲林が言う通り、場況からは山にありそうです。
ツモ和了については「<<」でしょう。
次に出和了について話が進みます。
これ自摸切り単騎された経験がなさ過ぎて
たぶんそうなんですよ、
我先に切る人もいるとおもうんで
持ってたら確かに
ぼく、我先に切っちゃいそうなんですよ。
それされたら。絶対一発で打っちゃいそうなんですよ
ツモ切りリーチには、何かしらの理由があります。そのメインは待ちが悪くて、手替わりを待っていたことでしょう。今回もそれにあたります。ですが、さすがに見逃しているとは思いません。は盲点になりそうです。
ただ最初の方の多井の話にあったように、という捨て牌からはなんでもあります。最後のがツモ切りということを踏まえて、愚形かもということくらいしか想定できません。は確かに盲点ですが、よくわからない捨て牌なので、無視して自分都合で手を進めるという考えもあります。そうなるとが手の中に使われやすい形で残っていたら、切り出されるかどうかは難しいところです。
多井の言う「我先に切る人もいる」というのは、実際には多井の手にはが孤立して残っていたからの発言であり、そうでない場合は後回しになることも多いようにも思います。
見逃しツモ切りリーチ
見逃しリーチについて、アサピンから次のような意見が出ました。
昔のおっちゃんならここでペンツモ切りリーチでてきますよ。
最近はあんまり…
あんまりないっすね、もう…
ペン、カンなら、即リーチになってそうだよね
ペン待ちで聴牌したとしても、良くない待ちなので、リーチをしないという選択は分かります。もちろんそのままツモれればうれしい。ただ他家から仕掛けがあれば、受けに回ろうという感じです。そこに当たり牌のが切られたが、役がなくて和了れない。そこであらためて盲点になる待ちで、リーチしてやろうということでしょうか。
先程のチートイツの見逃しリーチよりは、ペンチャンなら見た目枚数で1枚多くなります。そのため、まだこちらのペンチャン見逃しリーチの方が、やりやすいかもしれません。ちょっと面白いかなぁとは思いました。
とはいえ仲林が言うように、ペンはもちろん、カンでも手替わりが少ないので、ドラが一枚あれば即リーチと行くのが今では普通です。となればやはりこれはアサピンの言う通り、昔のおっちゃんの打ち筋で、多井の言う通り「あんまりない」のでしょう。
まとめ
そして最後にアサピンはこうつぶやきます。
多分本番だったら(最初の待ちで)、リーチ打ってるかな…
最初の待ちでリーチをするといっています。ですがその言い方から、名残惜しさも感じます。
個人的には待ちは若干不安なので、より良い牌を待ちたいです。そこにこぼれた太からの。これは自分の手にドラが1枚あるので見逃しません。ですがドラがなければ、見逃しの選択肢も出てきます。とはいえ、多井の仕掛けがありますので、ロンした方がいいような気がします。
ドラがなく、多井の仕掛けがなければ、かなり微妙です。見逃したいような気がしますが、ロンするのも悪いと思えません。点数がなくてツモ和了したいなら、それなりの牌を狙いたいです。とはいえ序盤ですから、山に残っている牌は分かりづらい。ならば他家への牽制も込めて、筋にかかっているなら即リーチが優位となりそうです。
見逃しツモ切りリーチについては、これが役牌だったら、効果的だったでしょう。例えば待ちで即リーチと行きたいところですが、自風牌の生牌なので警戒されるかもしれない。そこで様子見でダマに構えて、より良い変化を待っている。そこに当たり牌が切られる。
ドラがなければ1,600点で、あまりにももったいない。そこで改めてツモ切りリーチと行くわけです。一枚切れの字牌は山に残っていそうですし、ツモ切りリーチも相まって、他家が持ってきてもすぐに出そうです。ただそれがという使われやすい牌の場合、見逃しツモ切りリーチの効果はどうなのかは、正直わかりません。
ただ、筋ので即リーチに行くなら、生牌の役牌でも即リーチが普通でしょう。なのでなかなかこの見逃しツモ切りリーチをするのは、ハードルが高いようにも思います。ただ決まれば格好いいので、いつかはやってみたい技の一つです。
チートイツはツモ和了がメインで、出和了は保険と考えれば、アサピンの待ちではリーチをせず、待ちでリーチに行くというのは理解できます。
「の場況は悪くない」と太は言います。仲林も「は二人は持っていなさそう」と言います。確かにが3枚河に出ていて、はリャンメンに関してワンチャンスの牌になります。
ところで、が3枚見えての「・」と、が3枚見えての「・」はリャンメンに関しては同じワンチャンスです。ですが3枚見えの方は、のシュンツがフリーで使える分、切られにくくなります。その点の壁との壁の差は大きいと考えます。
確かによりはの方が山に残っていそうですが、そこまで絶対的な信頼をおけるとは思えません。そう考えるとアサピンの選択は、理解はできるがそれほど良いとも思えません。
また今回は自分の手牌に、赤ドラが1枚あります。なので得点的には、ツモ和了にこだわる必要はがないんですよね。
その意味では待ちでリーチをしないのであれば、待ちでもリーチをしない、あるいは待ちでリーチをするなら、待ちの時点でリーチをしておくのが、筋の通った考えじゃないのかなぁ、というのが私の思うところです。
それで、この局の結果ですが…
東3局 ドラ
東家 渡辺太 25,000点
西家 多井隆晴 25,000点
南家 仲林圭 25,000点
北家 朝倉 康心(アサピン) 25,000点
ツモ
このリーチ宣言牌ので、多井に放銃です。オチまできれいにつけてくれました。美しいですね。
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