牌流定石でおなじみの金子正輝プロですが、著書「常勝の麻雀」P206~215にて、金子正輝の会心譜として、チートイツの牌譜を載せています。それを紐解きつつ、トイツ系牌効率と比較してみましょう。
牌流定石
まずは金子プロの牌譜です。
東4局 ドラ
東家 金子正輝 31,500
1. 
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捨て![]()
2. 
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ツモ
捨て![]()
3. 
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ツモ
捨て![]()
「配牌は良くないが、親番なので丁寧に
から」とのことですが、現代麻雀なら
からです。この当時は、鳴かれたくない牌は1巡でも絞る感覚だったんですね。そして
・
と連続してトイツができ、トイツ手が意識されます。
その3巡目の打
を、北家がポン。
4. 
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ツモ
捨て![]()
5. 
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ツモ
捨て![]()
5巡目は字牌を切ればいいじゃないかと思いますが、金子プロは
のツモ切りです。これは先程の北家のポンに対応しているのです。![]()
を気軽に切って、相手の手を進めさせたくないそうです。
6. 
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ツモ
捨て![]()
7. 
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ツモ
捨て![]()
7巡目
切りの選択について、金子プロはこう言います。

は将来危険になりそうだ。今ならまだ聴牌していないだろうから、ここで切る手はある。しかしストレートに攻め合って勝てるものだろうか?
金子プロは4戦中3回が終わった段階で最下位でした。その形勢判断から
を切らずに、
切りとしたそうです。
ちなみにチートイツの権威である土田浩翔先生は、トイツを作るには「3・7牌から切る」とおっしゃっています。ただし、調子が悪いときは逆流打法で残すとおっしゃっています。するとこの
残しの選択は、土田システムの逆流打法の要素もあったようです。
さらにトイツ系牌効率において4トイツ時には、「3・7牌」こそ残すべきと主張してきました。金子プロのここの選択は、図らずもトイツ系牌効率になっていたのです。
またその時の他家の捨て牌はこうなっています。
南家![]()
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西家![]()
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北家![]()
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すると
の場況も良く、まだ山にかなり残っていそうです。実際この時点で
は3枚残っていました。著書ではこの部分に触れられていませんでしたが、山読みという点においても、
残しは有用な選択だったかもしれません。
8. 
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ツモ
捨て
リーチ
9. 
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ツモ
捨て![]()
10. 
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ツモ
捨て![]()
11. 
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ツモ
そしてその選択が成功し
を重ねることができます。実は
切りの同巡に北家が聴牌しており、ここで
を重ねられなければ、この
で北家に放銃だったのです。そしてその結果ドラをツモって、ハネマンの和了となりました。
金子プロはこの牌譜について、ポイントはこうだと語ります。
- ツモの傾向からチートイツに絞る。

のターツを捨てて、
を絞る。- 普通なら切りたい
を残す大局観。
恐るべし牌流定石!
トイツ系牌効率
ちなみにトイツ系牌効率で打つと、こうなります。
1. 
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捨て![]()
2. 
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ツモ
捨て![]()
3. 
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ツモ
捨て![]()
字牌は切りません。1打目は三色やチャンタがあるので、
でもいいかも。それでも3打目には同じ牌姿に合流します。
4. 
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ツモ
捨て![]()
5. 
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ツモ
捨て![]()
6. 
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ツモ
捨て![]()
ツモ
で4トイツです。ドラと字牌を切らないなら、ペンチャン外しです。攻めなら
切りから、受けなら
切りからです。5巡目の
ツモが2巡目捨て牌の
の外側で、ねらい目なので残します。どちらにしても、6巡目の
を重ねることはできていません。
6. 
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ツモ
捨て![]()
7. 
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ツモ
捨て![]()
8. 
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ツモ
捨て![]()
9. 
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ツモ
捨て![]()
10. 
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ツモ
捨て
リーチ


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この時点で
は2枚切れになっていますので、1枚切れの
単騎とします。リーチをするかどうかは微妙です。ダマでもいいと思います。この
でツモ和了とはいきませんでしたが、なかなか、いい聴牌になったのではないでしょうか。
ここで「あれ? 7巡目の
でロンされるんじゃなかったっけ?」と思われる人がいるかもしれません。確かに全体牌譜ではこの
で放縦となります。ですが、その北家の牌姿はこうです。
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つまりこれは金子プロが3巡目に切った
を鳴いた手なのです。しかしトイツ系牌効率で打った場合、
が切られるのは1巡目です。この時点では北家の牌姿はこうです。
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はトイツで、暗刻にはなっていません。さすがにここから
は鳴きづらいでしょう。北家はこの配牌から![]()
とツモって形が良くなったので、3巡目に
をポンしたのです。つまりトイツ系牌効率で打った場合、7巡目の打
の段階では北家は聴牌していません。ロンされることはないのです。
ポンがなかった場合
さてそうすると、3巡目のポンがないなら、ツモが上記のものとは変わるのではないかと思われるかもしれません。確かにその通りです。ではその場合は、どうなっていたのでしょうか。
1. 
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捨て![]()
2. 
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ツモ
捨て![]()
3. 
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ツモ
捨て![]()
ここまでは先程と同じです。次からがツモが変わっています。
4. 
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ツモ
捨て![]()
5. 
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ツモ
捨て![]()
6. 
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ツモ
捨て![]()
7. 
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ツモ
捨て![]()
5巡目の
で4トイツです。チートイツに向かって進みますが、6巡目さらに
を引き、再び面子手も見えてきました。7巡目
ツモで、面子手トイツ手の両天秤です。丁度2枚切れになった
を切ります。
8. 
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ツモ
捨て![]()
9. 
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ツモ
捨て![]()
10. 
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ツモ![]()

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さぁ、どうしましょう。
を切ってリャンメン待ちのリーチと行くのが普通でしょうか。あるいは、
を切ればドラ待ちのチートイツです。チートイツの場合、私ならダマにします。すると次の南家のツモが
で、南家は好形のイーシャンテンですから、もしかすると切ってくれるかもしれません。
あるいは9巡目に南家がくっつきのイーシャンテンに取る際、
を切る選択があります。その場合、北家がポンして聴牌に取る可能性があります。するとツモがずれて、10巡目のツモは
ではなく、
となります。

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とはいえ、10巡目でこのイーシャンテンなら、攻守ともにまずまずといったところです。残念ながらトイツ系牌効率では、和了にまではたどり着けませんでした。さすがは「牌流定石」です。ただトイツ系牌効率も、それほど負けてはいないところを見せられたのではないかと思います(しらんけど)
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