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ツモ牌相理論とは何か? 麻雀漫画「3/4よんぶんのさん」からの考察

トイツ場とは何か? トイツ場概論

「ツモ牌相打ち」という伝説的な打ち方があるそうです。麻雀漫画「3/4よんぶんのさん」の登場人物である「クイ鎌」によると、今まである凡百の戦術やテクニックを押しのけてこの世界の覇者になれる。麻雀のメカニズムそのもの、だそうです。すごくないですか!

続編「3/4よんぶんのさん それから…」の登場人物、滝と戸川はこの「ツモ牌相理論」を「トイツ場を制するための打ち方」と分析。そして「1. メンゼンでツモの傾向を探り 2. 手牌を寄せていき 3. ツモアガリを狙いとする」ツモ寄せの技である、と言います。さらにつけ加えれば、「特にトイツ手に有効」だそうです。

そんなものすごい「ツモ牌相」というものを、麻雀漫画「3/4よんぶんのさん」を紐解きながら、考察してみましょう。

トイツ系寄りの分類

麻雀漫画「3/4よんぶんのさん」の続編、「3/4よんぶんのさん それから…」に、「トイツ系寄りの分類」として、次のようなことが書かれてあります。

Ⅰ. スジでツモ牌が固まるパターン
6筒をツモりまた6筒がツモれるという流れだったら3筒9筒もツモれる。
Ⅱ. 裏スジツモのパターン
3筒をツモり次に8筒という流れなら、この後に5筒6筒というツモがくる。どういうわけか4筒7筒はツモれない流れ。
Ⅲ. 連トイツツモのパターン
4筒5筒とか6萬7萬とか、つながってツモがくる。4筒5筒と持っているところに3筒6筒は引かず、さらに4筒5筒ときたりする。
Ⅳ. とびトイツ
1筒3筒とか7索9索とか、間が抜けてトイツになるツモ牌相をいう。
Ⅴ. 四間とびトイツ
1筒5筒9筒とか3索7索とか、間が3つ抜けてくる牌相の場合をいう。

正直なんだかよくわかりませんね。実際の牌姿や、具体的なツモを見てみないと何とも言えません。では麻雀漫画「3/4よんぶんのさん」に出てきた闘牌シーンなどを見ながら、考察していきます。

スジでツモが固まるパターン

「3/4よんぶんのさん」本編では、第9期最高位戦Aリーグ 深野浩士プロの実践譜が紹介されています。

1. 3萬3萬5萬3筒4筒6筒9筒1索3索6索6索9索中 ツモ9筒 打中
2. 3萬3萬5萬3筒4筒6筒9筒9筒1索3索6索6索9索 ツモ8筒 打9索
3. 3萬3萬5萬3筒4筒6筒8筒9筒9筒1索3索6索6索 ツモ9萬 打9萬
4. 3萬3萬5萬3筒4筒6筒8筒9筒9筒1索3索6索6索 ツモ6筒 打1索
5. 3萬3萬5萬3筒4筒6筒6筒8筒9筒9筒3索6索6索 ツモ6筒 打5萬(!?)
6. 3萬3萬3筒4筒6筒6筒6筒8筒9筒9筒3索6索6索 ツモ3筒 打3索
7. 3萬3萬3筒3筒4筒6筒6筒6筒8筒9筒9筒6索6索 ツモ6索 打8筒
8. 3萬3萬3筒3筒4筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索 ツモ南 打4筒
9. 3萬3萬3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索南 ツモ白 打白
10. 3萬3萬3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索南 ツモ7索 打7索
11. 3萬3萬3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索南 ツモ西 打西
12. 3萬3萬3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索南 ツモ3筒 打南 聴牌
13. 3萬3萬3筒3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索 ツモ8萬 打8萬
14. 3萬3萬3筒3筒3筒6筒6筒6筒9筒9筒6索6索6索 ツモ9筒

5巡目に孤立牌の3索ではなく、3萬3萬5萬と複合形の一部である5萬を打っています。この打5萬に違和感を感じますが、それ以外はいたって普通の捨て牌です。さて打5萬のところで、深野浩士プロには何があったのでしょうか。

それはそこまでのツモに注目するとわかります。9筒8筒9萬6筒6筒ですね。6筒9筒の筋が押し寄せてきているのです。そこで6索トイツの筋である3索を大切にしたのでしょう。トイツ系の手を考えるなら、3萬3萬5萬から5萬を切るのは手筋です。とはいえ結局、次巡に3索を切っていますが…

そして深野浩士プロは、3筒6筒9筒の筋を捕まえて四暗刻を上がることに成功しました。

ちなみに「3/4よんぶんのさん」本編の闘牌シーンでは、最後のツモを喰い流されて、対々三暗刻になっています。

このスジでツモが固まるというのは、トイツ場の話ではよく出てきますので、まぁこの辺でいいでしょう。

裏スジツモのパターン

裏スジツモ その1

堀場が王牌打ちに目覚めつつあった時の、松竹梅との対決での、堀場の打牌です。

配牌を取った時、堀場は自分のツモ筋が3索2筒8索1索5筒なのを確認します。ソウズが多い流れなのか、ピンズが多い流れなのか、判断がしかねるところです。とりあえず堀場は、どちらの色にも関係しないマンズを整理していきます。

1. 3萬6萬9萬2筒3筒1索3索5索6索8索9索白中 ツモ5筒 打9萬
2. 3萬6萬2筒3筒5筒1索3索5索6索8索9索白中 ツモ8索 打6萬
3. 3萬2筒3筒5筒1索3索5索6索8索8索9索白中 ツモ2筒 打3萬
4. 2筒2筒3筒5筒1索3索5索6索8索8索9索白中 ツモ2索 打5筒
5. 2筒2筒3筒1索2索3索5索6索8索8索9索白中 ツモ2筒 打中

5巡目、堀場は「ソウズのホンイツ一通狙いか…いや、まだ早い…」と中を切ります。配牌から考えるとソウズ5枚、ピンズ4枚を引いていることになります。ソウズ一辺倒の流れではない、と判断したのでしょう。

6. 2筒2筒2筒3筒1索2索3索5索6索8索8索9索白 ツモ3索 打白
7. 2筒2筒2筒3筒1索2索3索3索5索6索8索8索9索 ツモ3索 打3筒
8. 2筒2筒2筒1索2索3索3索3索5索6索8索8索9索 ツモ8索 打9索 リーチ
9. 2筒2筒2筒1索2索3索3索3索5索6索8索8索8索

「一通がなくなりリーチのみだが裏ドラ期待だ。この勢いのあるソウズのツモ筋なら楽に4索7索はツモれるはずだ」と堀場は言います。しかしツモれずに流局します。その時の堀場の河はこのようになっています。

9萬6萬3萬5筒中白
3筒9索6索5索1筒2索
6索8筒5筒北9索8筒

結果として4索7索はカラテンで、このリーチは和了れませんでした。堀場は自分のツモを振り返って、ソウズは4索7索を引かない流れだと反省しました。実はこれは「裏スジツモのパターン」です。8巡目の聴牌の時点までのソウズツモをチェックしてみましょう。

3索8索8索2索3索3索8索

「3」と「8」ばかり引いていますね。「裏スジツモのパターン」の文言を確認しましょう。

3筒をツモり次に8筒という流れなら、この後に5筒6筒というツモがくる。どういうわけか4筒7筒はツモれない流れ」

まさに「裏スジツモのパターン」そのものですね。4索7索をツモれないなら、ここでのリーチはあり得ません。リーチをしない選択なら、どうなるでしょうか。

9. 2筒2筒2筒1索2索3索3索3索5索6索8索8索8索 ツモ6索 打5索

13. 2筒2筒2筒1索2索3索3索3索6索6索8索8索8索 ツモ6索

「裏スジツモのパターン」通りに6索をツモりました。待ち変えのチャンスです。ここで打3索のカン4索待ちとしても4索はツモれないのですから、待ち変えの意味はありません。ここは打5索として、シャンポン待ちにして、先々の四暗刻変化を狙いましょう。結果としては、四暗刻変化はありませんでしたが、そのまま6索をツモって三暗刻になります。

めでたしめでたし、といいたいところですが、ちょっと待ってください。7巡目に堀場は3筒を切りましたが、私ならタンヤオ変化も考えて1索を切ります。するとこのような進行になるでしょう。

7. 2筒2筒2筒3筒1索2索3索3索5索6索8索8索9索 ツモ3索 打1索
8. 2筒2筒2筒3筒2索3索3索3索5索6索8索8索9索 ツモ8索 打2索
9. 2筒2筒2筒3筒3索3索3索5索6索8索8索8索9索 ツモ6索 打9索
10. 2筒2筒2筒3筒3索3索3索5索6索6索8索8索8索 ツモ5索 打3筒

13. 2筒2筒2筒3索3索3索5索5索6索6索8索8索8索 ツモ6索

四暗刻をツモっちゃったんですけど!

裏スジツモ その2

王牌打ちが身についてきた堀場が、竹松との闘いで見せた打牌です。

配牌を取った時、堀場は自分のツモ筋が2筒7筒1筒8筒なのを確認して、「裏スジツモの流れ」だと考えました。このパターンは4筒5筒をツモるが、2筒7筒の裏スジにあたる3筒6筒はツモれないパターンです。

それを踏まえて、堀場の手順を確認しましょう。

1. 1萬2萬4萬8萬1筒2筒4筒5筒7筒8筒6索9索西 ツモ7筒 打1萬
2. 2萬4萬8萬1筒2筒4筒5筒7筒7筒8筒6索9索西 ツモ中 打9索
3. 2萬4萬8萬1筒2筒4筒5筒7筒7筒8筒6索西中 ツモ1筒 打西
4. 2萬4萬8萬1筒1筒2筒4筒5筒7筒7筒8筒6索中 ツモ4筒 打中

1打目の1萬9索の方がよかったと思いますが、まぁいいでしょう。それより問題は3・4巡目です。ここで1筒4筒とツモっているので、ここはホンイツを狙って孤立牌の8萬6索を切るべきでしょう。配牌のツモ筋の段階で、あれだけピンズのツモ牌相なのですから、この時点でホンイツに決めるべきです。字牌は切るべきでありません。

5. 2萬4萬8萬1筒1筒2筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒6索 ツモ4筒 打6索
6. 2萬4萬8萬1筒1筒2筒4筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒 ツモ白 打4萬
7. 2萬8萬1筒1筒2筒4筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒白 ツモ2筒 打2萬
8. 8萬1筒1筒2筒2筒4筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒白 ツモ1筒 打8萬
9. 1筒1筒1筒2筒2筒4筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒白 ツモ9萬 打9萬

5巡目からホンイツ一直線で、危険牌から処理していますが、判断が遅いような気がします。

10. 1筒1筒1筒2筒2筒4筒4筒4筒5筒7筒7筒8筒白 ツモ4筒 カン
11. 1筒1筒1筒2筒2筒5筒7筒7筒8筒白 裏牌4筒4筒裏牌 ツモ2筒 打白
12. 1筒1筒1筒2筒2筒2筒5筒7筒7筒8筒 裏牌4筒4筒裏牌 ツモ9筒 打5筒
13. 1筒1筒1筒2筒2筒2筒7筒7筒8筒9筒 裏牌4筒4筒裏牌 ツモ7筒

12巡目の待ち牌選択ですが、普通は5筒待ちにするでしょう。最初、堀場は「裏スジの流れ」と考えました。なら、5筒もツモれると考えて良いでしょう。ですがそれと同時に、このツモの流れは「1筒4筒7筒」という「スジでツモが固まるパターン」とも考えられます。堀場はそこでスジの方を選んだのです。

もしかすると、ここから四暗刻への変化を考えたのかもしれませんが…

連トイツツモのパターン

連トイツに関する、クイ鎌メモの中身です。

1. 7萬9萬1筒2筒4筒5筒7筒8筒東西西北發 ツモ5筒 打北
2. 7萬9萬1筒2筒4筒5筒5筒7筒8筒東西西發 ツモ7萬 打東
3. 7萬7萬9萬1筒2筒4筒5筒5筒7筒8筒西西發 ツモ8筒 打發
4. 7萬7萬9萬1筒2筒4筒5筒5筒7筒8筒8筒西西 ツモ6萬 打9萬
5. 6萬7萬7萬1筒2筒4筒5筒5筒7筒8筒8筒西西 ツモ1筒 打2筒
6. 6萬7萬7萬1筒1筒4筒5筒5筒7筒8筒8筒西西 ツモ4筒

クイ鎌のメモによると、最後の待ち選択は6萬でも7筒でも、どちらでもよいそうです。

1巡目4筒5筒からシュンツが完成するのではなく、ツモ5筒とトイツができる牌がきました。同様に2巡目7萬9萬から8萬を引いてシュンツが完成するのではなく、7萬ツモでトイツができています。3巡目7筒8筒から8筒でトイツができる。5巡目1筒2筒から1筒でトイツができる。そして6巡目4筒5筒5筒からシュンツになる牌ではなく、トイツになる4筒をツモってきます。こうなればさすがに連トイツのツモの流れです。

クイ鎌は「6萬でも7筒でも、どちらでもよい」と言っていますが、ツモ牌が5筒4筒7萬6萬ときていますので、8筒の流れで7筒を待ちにした方がやや優位なのではないかと思います。

ですがこれは、字牌・端牌を切っていったら勝手にこうなったというパターンです。あまり工夫が見られません。本来なら第一打は、ホンイツを見て9萬でしょう。2巡目に7萬が重なり3トイツになって少し迷いますが、保留の北としましょうか。すると3巡目の8筒で分岐点です。ホンイツに向かうなら、7萬切り。4トイツなので七対子に向かうなら、4筒でしょう。そうするとこの最終形にはなっていません。

この連トイツは、土田浩翔先生のいうところの「並びトイツ」です。そして土田浩翔先生は、この「並びトイツ」はツキが自分から離れはじめた頃に作動しやすい、とおっしゃっています。その意図については、以下を参考にしてください。

なんにせよ、連トイツは狙って作るものではないと思われます。

トビトイツ

堀場がクイ鎌に、自分の打ち方を説明するシーンです。

1. 3萬9萬2筒2筒4筒5筒9筒6索南西北北白 ツモ3萬 打南
2. 3萬3萬9萬2筒2筒4筒5筒9筒6索西北北白 ツモ8索 打西
3. 3萬3萬9萬2筒2筒4筒5筒9筒6索8索北北白 ツモ8索 打9萬
4. 3萬3萬2筒2筒4筒5筒9筒6索8索8索北北白 ツモ6索 打9筒
5. 3萬3萬2筒2筒4筒5筒6索6索8索8索北北白 ツモ4索 打4索

1巡目、ツモが3萬とトイツになりました。2巡目、3巡目と連続で8索をツモり、4巡目に6索がトイツになりました。完全にトイツ場の流れです。そして5巡目、4索をツモ切ります。

6. 3萬3萬2筒2筒4筒5筒6索6索8索8索北北白 ツモ2索 打4筒
7. 3萬3萬2筒2筒5筒2索6索6索8索8索北北白 ツモ9萬 打9萬
8. 3萬3萬2筒2筒5筒2索6索6索8索8索北北白 ツモ白 打5筒 聴牌

次の6巡目で2索を引きました。ここで堀場は8索8索6索4索2索というツモの流れを考えます。つまりこれは真ん中の牌を引かない流れ、トビトイツと考えるのです。本来なら5巡目の4索ツモの段階でそれを見抜いて、その時点で4筒5筒落としを考えないといけないと、堀場は言っています。

2索ツモでトビトイツの流れを見た堀場は、4筒5筒落としをします。そして8巡目に聴牌します。

9. 3萬3萬2筒2筒2索6索6索8索8索北北白白 ツモ2萬 打2萬
10. 3萬3萬2筒2筒2索6索6索8索8索北北白白 ツモ4索 打4索
11. 3萬3萬2筒2筒2索6索6索8索8索北北白白 ツモ1筒 打1筒
12. 3萬3萬2筒2筒2索6索6索8索8索北北白白 ツモ西 打西
13. 3萬3萬2筒2筒2索6索6索8索8索北北白白 ツモ2索

10巡目に4索をツモっています。もし4索タンキにできていれば、ここで和了でした。ですがその3巡後、トビトイツの流れ通り2索をツモることができました。

クイ鎌はこの打ち方を見て、「ツモ牌相打ちという伝説的な打ち方…」と言います。そして「今まである凡百の戦術やテクニックを押しのけて、この世界の覇者になる。なにしろお前は麻雀のメカニズムそのものを手に入れたことになる!」と、大絶賛です。

とはいえよくよく考えれば、3巡目の段階で4トイツです。孤立牌ランク通りに9萬を残して、5筒を切っておけば、7巡目で聴牌しています。そして8巡目の白でツモ和了っていますね。こっちの方が麻雀のメカニズムに沿っていませんかね。

王牌打ちVSツモ牌相打ち

最後に、堀場の王牌打ちと、竹松のツモ牌相打ちの対決シーンでの、堀場の打牌を見てみましょう。ここは「3/4よんぶんのさん」屈指の名シーンです。竹松、梅松、魚地、堀場の4人それぞれの思惑が絡み合って、なかなか重厚な闘牌シーンです。

配牌を取った時、堀場は自分のツモ筋が3筒4筒6筒1筒7筒なのを確認しました。そこから「完璧なピンズのツモ牌相、しかし裏スジの2筒5筒8筒はツモれない流れと読むべきだろう」と考えます。

1. 1萬3萬8萬1筒3筒4筒6筒1索2索7索8索8索9索 ツモ7筒 打1萬
2. 3萬8萬1筒3筒4筒6筒7筒1索2索7索8索8索9索 ツモ3筒 打3萬
3. 8萬1筒3筒3筒4筒6筒7筒1索2索7索8索8索9索 ツモ6筒 打8萬
4. 1筒3筒3筒4筒6筒6筒7筒1索2索7索8索8索9索 ツモ9筒 打2索
5. 1筒3筒3筒4筒6筒6筒7筒9筒1索7索8索8索9索 ツモ9筒 打7索

第一打の1萬は疑問。孤立牌の8萬でいいでしょう。「123」の三色同順が少し見えます。しかし堀場が裏スジの2筒はツモらないと考えたなら、三色同順はなくなります。それにしてもカンチャンの1萬3萬ではなく、1索2索のペンチャンを払うべき? いやそれでも普通は、孤立牌の8萬切りでしょう。

おそらく堀場は自分のツモ筋がピンズなので、色を絞りに行ったのではないでしょうか。マンズには面子がありませんので、そこを払っていく考えです。正直何から切っても関係ないと、左から順番に切っていったのではないかと思います。

4巡目の打2索はペンチャンを内側から切っています。ややちぐはぐな感じがしますが、この辺りから守備を考えているのでしょうか。そして5巡目のツモ9筒で、4トイツになりました。ここの打7索は、完全に七対子を見ています。

そこで魚地がチーをして、ツモ筋がずれます。

6. 1筒3筒3筒4筒6筒6筒7筒9筒9筒1索8索8索9索 ツモ2索 打1筒
7. 3筒3筒4筒6筒6筒7筒9筒9筒1索2索8索8索9索 ツモ5索 打4筒

ツモ筋がずれたため、6巡目、堀場のツモがピンズではなく、2索となりました。2索は前々巡に切ってますので、七対子ならフリテンになります。それでもピンズのツモ筋から外れたことの方が、堀場には重要だったのでしょう。ピンズを見切って1筒を切ります。

7巡目の5索ツモ、打4筒も同じ考えです。

さらに魚地がチーをして、またツモ筋が変わります。

8. 3筒3筒6筒6筒7筒9筒9筒1索2索5索8索8索9索 ツモ白 打2索
9. 3筒3筒6筒6筒7筒9筒9筒1索5索8索8索9索白 ツモ中 打5索
10. 3筒3筒6筒6筒7筒9筒9筒1索8索8索9索白中 ツモ9索 打7筒
11. 3筒3筒6筒6筒9筒9筒1索8索8索9索9索白中 ツモ白 打中

8巡目のツモ白2索は普通の手順です。2索は七対子のフリテン牌ですから、ここで切ります。そして9巡目のツモは中です。この8・9巡の白中のツモで、このツモ筋は「1・9、字牌のツモ牌相」と考え、ソウズは見切って打5索です。

とはいえ4トイツですから、七対子を意識して、山読みしやすい「1・9、字牌」をかき集めようというのは、普通の考えでもあります。

そして10巡目。ツモ9索7筒で、七対子イーシャンテンです。1索白中という「1・9、字牌」三頭立ての七対子イーシャンテンは最もいい形です。そしてあっさり次巡ツモ白で聴牌です。

ドラの1索待ちか、中待ちかどちらにするかの選択です。8巡目からのツモ筋は、「1・9、字牌のツモ牌相」ですから、どちらでもツモりそうです。堀場はあえて場に二枚切れている1索を待ちにしました。結果的には、中は魚地にトイツで持たれていました。

その切られた中を、魚地がポン。堀場のツモ筋が、最初のピンズのツモ牌相に戻りました。

12. 3筒3筒6筒6筒9筒9筒1索8索8索9索9索白白 ツモ7筒 打1索
13. 3筒3筒6筒6筒7筒9筒9筒8索8索9索9索白白 ツモ1筒 打1筒

12巡目のツモが7筒です。この7筒は10巡目に切っていますので、フリテンです。しかしピンズのツモ牌相ですから、フリテンの引き戻しもあり得ると考え、ここで打1索としました。

13巡目のツモは1筒です。これもフリテン牌です。魚地に対して7筒が切りづらいので、そのまま1筒をツモ切って、フリテンの7筒待ちを続けます。

また魚地がポンして、堀場のツモ筋は6・7巡目に2索5索とツモったのと同じツモ筋になりました。

14. 3筒3筒6筒6筒7筒9筒9筒8索8索9索9索白白 ツモ4索 打7筒 リーチ
15. 3筒3筒6筒6筒9筒9筒4索8索8索9索9索白白 ツモ東 打東
16. 3筒3筒6筒6筒9筒9筒4索8索8索9索9索白白 ロン4索

そこにツモった4索。堀場はソウズのツモ筋になったと考えます。これが最終形と4索タンキでリーチとします。同巡、下家の竹松もリーチをかけます。竹松もツモ牌相を理解しており、自分のツモ筋が1・9字牌と判断して、その牌で待っています。

このままでは、堀場に一発でツモられると考えた上家の梅松がチーをして、ツモ筋をずらします。堀場のツモ筋は、再びピンズのツモ牌相になります。

15巡目、堀場のツモは予想に反して字牌の東。これは竹松に対して超危険牌。しかしリーチをしているため、そのままツモ切りします。竹松の待ちは9筒。1・9字牌でしたが、なんとか振り込みを回避。そしてソウズのツモ筋となっていた竹松が4索をツモってしまい、堀場に振り込み、決着となります。

堀場に一発でツモられると考えた梅松は正しいです。ですが堀場のツモをずらした先は、味方の梅松です。梅松はリーチをしていますので、危険牌はツモ切るしかありません。ツモは回避したものの、振り込みになったというのは、冷静に考えればなんとも間の抜けた話ではないでしょうか。

終わりに

これで「トイツ系寄りの分類」にあった内容に関するもので、「3/4よんぶんのさん」に出てくる闘牌で確認できるものはある程度考察しました。他にも「ツモ牌相理論」を使った闘牌はあります。しかしそのほとんどが「スジでツモが固まるパターン」だったので、繰り返しを避けるため取り上げていません。

そういえば、「四間トビトイツ」に関する闘牌が見当たりませんでした。見逃していたら申し訳ありません。

「3/4よんぶんのさん それから…」によると、青野滋氏がこの「ツモ牌相理論」を発掘提唱されている、とあります。それに関する書籍などは無いようで、ネット上でもあまり情報は探せませんでした。もし何か情報がありましたら、コメントをいただけると嬉しいです。

そのほかに、渡辺和弘氏がそもそもこの「ツモ相牌理論」の始祖という話もありました。「アンコ筋の牌は一枚は引いてくる」「4間筋トイツ」「ウラスジトイツ」「アンコになったリャンメンは引きづらい」「イーペーコの高めは引かない」などがあるそうです。

この辺ももっと情報が欲しいですね。とりあえず「ツモ牌相理論」に関しては、今回はこの辺で…

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