和了りトップ時の七対子(チートイツ)の考察
前回までの話をまとめると、一向聴以降に残す優先順位は、オタ風牌>役牌>1・9牌>2・8牌>3~7牌で、条件に合わなくなれば捨てるという感じでしょう。
一向聴では3種類の受け入れですので、普通は「オタ風牌」「役牌」「1・9牌」くらいでおさまるかとおもいます。結局のところグラフとか出してきてそれっぽくやりましたが、「オタ風牌」「役牌」「1・9牌」の牌が山に残っているかどうかが読みやすいので、残すか捨てるか見極めやすいってことです。
で、今回はそれ以前の話。つまり二向聴以前についてです。
ふつう七対子(チートイツ)を意識するのは、4トイツくらいからじゃないかと思います。私は七対子(チートイツ)がことさら好きなもので、3トイツの時点で結構意識します。土田浩翔先生は、2トイツで七対子(チートイツ)を意識すると、「マイコミ麻雀文庫 土田システム 麻雀が強くなるトイツ理論」に書かれています。
2トイツは9種類、3トイツは7種類、二向聴(4トイツ)では5種類の牌の受け入れがあります。ここではとりあえず二向聴(4トイツ)を想定して話を進めていきます。あとせっかくなのでもう少し条件を絞って、「どうしても和了りたい状況」としてみましょう。具体的に「和了りトップの状況」とかを思い浮かべるとよいです。
和了りに向かって一直線に進むなら、前回の話(一向聴以降)と同じで、「オタ風牌>役牌>1・9牌>2・8牌>3~7牌」を目安に集めていけばよいのでしょうか。もちろんそう単純には行きません。受け入れが5種類にもなると、「オタ風牌」「役牌」「1・9牌」ではおさまらないことが多いからです。
二向聴の話ですので、もう少し考えてやらないといけません。つまり「どうしても和了りたい状況」であるならば、和了りやすい状況を作り出す必要があります。
具体的に言うと前回の記事どおり「オタ風牌>役牌>1・9牌>2・8牌>3~7牌」を目安に集めていくと、捨て牌が七対子(チートイツ)バレバレになって、聴牌時にツモしか頼れなくなります。
当たり前ですが七対子(チートイツ)は単騎待ちです。「和了りトップ」の状況でツモしか頼れないのはつらすぎます。そこで迷彩が必要となるのですが、どういう方法があるのでしょうか。
そういえば前回の最後の方で、このようなことを書きました。
その他一般的によく言われている山読みの方法ですが、「序盤に捨てられている牌の外側は山に残っている」だとか、さらにそこから発展して「場に安い色は山に残っている」というものがあります。
逆に考えれば「場に高い色は山に残っていない」と言えますよね。ということは場に高い色はツモりにくい(重ねにくい)ので、その種類の牌で迷彩を作ればよいことになります。つまり切られていない牌種で「1・9牌→2・8牌→3~7牌」の順に切るように心がけるとよいかもしれません。
ただそれだけだと捨て牌がホンイツっぽくなり、字牌を警戒されてしまいます。せっかくの七対子(チートイツ)の迷彩が台無しになりかねません。ですので一色手を警戒されないように「序盤に場に安い色」を切っておくことも必要です。
その牌は七対子(チートイツ)の優先度が低い「3~7牌」でよいです。なぜなら他の種類の牌で「1・9牌→2・8牌→3~7牌」の順に切っているので、七対子(チートイツ)っぽさは消えているからです。
と、ここまであれこれ書いてきましたが、本当にこんな面倒くさいことをやって七対子(チートイツ)を目指すのかというと、正直言えば疑問です。
おそらく和了りトップの状況で、役牌がトイツであれば即ポンでしょうし、七対子(チートイツ)含みであっても食いタンを考えた手牌組みにするから、1・9牌よりは2~8牌の方を優先的に残します。また「字牌」「1・9牌」の対子が4つ(それ以下でも)あれば、普通「ポン!」「ポン!」とトイトイへ向かうほうが、和了トップ時には有効でしょう。
ここに来て、まさかの「対々和>七対子(チートイツ)」発言、そして今回の記事の前半に書いてきたことの意味の無さ。もしここまで真面目に読んでくださった方がいらっしゃれば、スイマセン・・・
そんな不遇の手役、七対子ですが、それを活かして戦う方法はないのでしょうか。次回からはいよいよ麻雀の新戦術「トイツ系牌効率」について書いていきます。
4トイツ時(七対子(チートイツ)中期)の3・7牌
前回の記事では、和了トップの場面での七対子(チートイツ)の狙い方と、そんな場面での七対子(チートイツ)狙いは不利なんじゃないかという説を述べました。
では再度仕切りなおしということで、まず設定は東1局の西家としてみましょう。要するに好きに打っていい場面ですね。で、割と早い巡目にトイツが4つできて「七対子(チートイツ)」を狙ってみようという設定です。
たとえばトイツ4つの状態から、有効牌を引く確率はこうなります。
15牌÷123牌=0.121951…≒12.2%
つまり一向聴になるまでの平均巡目は、こうなります。
100÷12.2=8.19672…≒8巡
一向聴から聴牌までの平均巡目は、以前の記事のとおり14巡です。つまりトイツ4つのチートイツ二向聴から聴牌まで、平均で「8巡+14巡=22巡」かかります。局は通常17・18巡で終わります。すると配牌で4トイツあったとしても、これだと流局してしまうのが普通です。
と、「振り出しに戻る」みたいなことを書いてしまいましたが、そこまでならなくても七対子(チートイツ)はそれなりに時間がかかる手役なのは間違いないでしょう。
そこで登場するのが、麻雀の新戦術「トイツ系牌効率」です。
七対子(チートイツ)において大切な牌は、以前からしばしば出てきているとおり「字牌」「役牌」「1・9牌」ですが、この「トイツ系牌効率」の鍵はそれらの牌にプラスして「3・7牌」になります。なぜ「3・7牌」かというと、尖張牌と呼ばれる大切な牌だからです。
がないとが孤立しますし、同ようにがないとが孤立します。はシュンツになりますが、がないとは待ちのペンチャン扱い、は待ちのペンチャン扱いになります。だと普通はかを引いてのリャンメン変化を期待しますが、それができません。
どういうことかといいますと、「3・7牌」はシュンツを作るときの鍵になる牌だということです。逆に言えばトイツができる鍵にもなりえるわけです。つまり「3・7牌」は、シュンツ場かトイツ場かを見分ける鍵になるのです。
ということで「3・7牌」を切るのは後回しにします。
七対子(チートイツ)一向聴以降における残すべき牌の考察で示した統計です。
これによると、「1枚見え2~8牌」のツモ確率が「1・9、字牌」と比べて大きく下がっています。しかし「3・7牌」だけは、なるだけ切らないようにします。それは「3・7牌」を重ねることができたなら、その牌種がトイツ場傾向だと、自分だけ知ることができるからです。
そういえば、かの桜井章一先生も「3・7牌」を固めて機械に落とすことによって、自動卓でトイツ場を作るとおっしゃっていたようないなかったような・・・
そして「3・7牌」がトイツになったなら、その筋である「4・6牌」を重ねることができるとなお効果的ですが、それに付随するものがいろいろありそうで、長くなりそうなので次の章で解説します。
4トイツ時(二向聴時)の4・6牌
「3・7牌」がトイツになったなら、その筋である「4・6牌」を重ねることができると、なお効果的になる理由ですが、前回の記事を読まれた方はわかると思います。
→ 「・・・」が孤立→トイツ場の傾向がわかる。
→ 「・・・」が孤立→トイツ場の傾向がわかる。
ということです。
なぜこんなことを前回の記事に入れず、後回しにしたのかのかというと、このトイツ場と筋牌の関係に関していろいろ書けそうだったからです。
前の記事にも少し出てきた桜井章一先生も、このようにおっしゃっています。
トイツ場ってね・・・・・・スジが殺されてるから起こるんだ
相手にスジの牌をたくさんもたれると 自分のところには全然入ってこない
すると自然に重なってきて・・・・・・みんながトイツ場になってしまう
上記の例で言えば・がなくなるとシュンツとして使えるのはのみだし、そのにしてもがないなら、があっても実質ペンチャン待ちだから通常のリャンメンよりシュンツになりにくい。逆に言えば相対的に重なる可能性が高くなるので、・というように筋で重ねることができたなら、その牌の種類はトイツ場の傾向にあると想定できるのです。
ここまでは納得の理屈です。しかし、桜井章一先生の話はまだ続きます。
だからトイツ場のときはスジで持っていると重なりやすいんだ
ここで「どういうこと?」となる人が多いでしょう。最初の話は理屈としてわかります。でも次の話はそれとつながるのでしょうか。「筋牌が重なる→トイツ場になる」とはいえます。だからといって「トイツ場になる→筋牌が重なる」とはいえませんよね。
つまり「筋牌がかさなる」は「トイツ場になる」であるための十分条件です。「トイツ場になる」は「筋牌がかさなる」であるための必要条件です。しかし「筋牌がかさなる」は「トイツ場になる」の必要十分条件とは違うよね? ってことです。(余計にわからなくなった?)
しかしこの話は桜井章一先生だけが言っているのではありません。実は、土田浩翔先生の「最強麻雀 土田システム (マイコミ麻雀BOOKS)」にも同じ内容が出てきます。
トイツ場ではスジ牌同士が重なりやすいのは今や常識。
最強麻雀 土田システム (マイコミ麻雀BOOKS) P64
なんとトイツ場でスジ牌が重なるのは「常識」とまでおっしゃっています。本当に常識でしょうか。むしろ常識こそ疑うべきです。科学の発展は常識の破壊から生まれてきたのです。
具体的に考えてみましょう。たとえばAさんが・を固めて「トイツ場になる」とします。そのときのBさんの手にとあった場合・は入ってきづらいから、シュンツにならず牌が重なってトイツになりやすいです。確かにその牌の重なり方は・という筋になるかもしれません。あるいは・という筋になるかもしれません。
ですが、・または・または・または・という、筋とは関係なく重なるかもしれません。よって「トイツ場になる→筋牌が重なる」といえないはずです。すると、桜井章一先生、土田浩翔先生のおっしゃっていることは、間違っているのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。先人の知恵には、そこに深い意図があることが多いです。
少し横道にそれますが、テレビで見た話を紹介します。それは、足の遅い子たちが速く走るために、どうしたらよいかという番組でした。コーチは一言、「笑顔で走りなさい」と言いました。速く走ることを意識すると、逆に筋肉に力が入ってしまいうまく走れません。笑顔で走ると全身の筋肉がリラックスし、無駄な力が入らずに速く走れるそうです。
笑顔と足の速さとは直接関係ありません。しかし、「筋肉をリラックスさせて走りなさい」と言ってもうまくできないでしょう。そこで筋肉をリラックスさせるために「笑顔になりなさい」と指示するのです。
つまり、先の桜井章一先生の言葉や土田浩翔先生のシステムに関しても、その言葉の上っ面だけをとらえてはいけないのです。その本質を見極める必要があります。それを踏まえて「トイツ場では筋牌がかさなりやすい」という言葉を考えると、実はそこに深い意図が込められていることがわかります。
話が違う方向に進みそうなので、この話は次の章にします。
前回と今回のまとめです。
→「・・・」を制限する。
→「・・・」を制限する。
→「・・・」を制限する。
上記の3パターンは、トイツ場の傾向が想定できる七対子(チートイツ)黄金パターンです。
今の麻雀は赤があります。そこで筋でトイツにする方が、のシュンツの可能性を制限するため「・」≧「」の関係になります。つまり手牌にとあればを捨てるのが手筋となります。
そしてこのが重なれば、トイツ場の傾向があると想定できます。また逆に、が重ならなければ、トイツ場ではないかもしれないと疑うことができます。そのときはピンフをやっている人にも注意を払う必要があります。
またがあるときのや、があるときのと同ように、とあるときのやとあるときのは、単独の・よりも重要です。
もちろん単独トイツのは・を制限し、は・を制限するのに対し、単独トイツのやは制限する牌がありません。よって手の中にとあればを捨てるのが手筋になります。しかし、が重なるととなり、将来という超優良コンボが望めます。したがってこの場合のとの差は微妙です。しかし基本的にはトイツ場傾向の把握の点から、「3・7牌>4・6牌」になります。
つまり4トイツ時の「4・6牌」は、筋牌のトイツがあってこそ輝く牌で、単独ではさほど有用ではない牌であると結論づけましょう。
トイツ場と筋牌の関係
前回の記事で4トイツときにおける「3・7牌」とその筋である「4・6牌」について考察しました。
からはを切る。
からはを切る。
からは基本的にはを切るけどでもよい。
という3つのパターンが出てきました。この3パターンに共通するのは筋牌の大切さです。
それを考えると前回出てきた
・だからトイツ場のときはスジで持っていると重なりやすいんだ
・トイツ場ではスジ牌同士が重なりやすいのは今や常識
という桜井章一先生や土田浩翔先生の話ですが、非常に深い意味を持つことがわかります。
前回の説明では大雑把に言えば、「筋牌を重ねられるかどうかでトイツ場かどうかを知ることができるので、筋牌を残しましょう」という話でした。つまり筋牌が重なればトイツ場、重ならなければトイツ場ではない、という大まかな判断をつけられるということです。
言い換えればトイツ場を予測をするために、筋牌を大切にしましょう、となります。
そして桜井章一先生や土田浩翔先生の「トイツ場ではスジ牌同士が重なりやすい」の発言は、逆に言えば「スジ牌が重ならなければトイツ場ではない」と同じ意味です。これは先にその場をトイツ場と仮定して、後で筋牌を使ってその仮定を修正していく方法ともいえます。
そこに至る考え方は違いますが、どちらにしろ実際に残す牌は同じになることに注目です。山道を行ってもケーブルカーに乗っても、どちらにしろ山頂に着くようなものです(?)。
話は少し変わりまして「知識」と「知恵」についてです。知識は本を読んだり、先生に聞けば習得できます。しかし、知恵は本を読んでも自分のものにはならないのです。知恵は行動の中からでしか体得できないのです。知恵を体得するには問題にぶつからなければいけません。
それを踏まえて考えると、私が今まであれこれ述べてきたことは、七対子(チートイツ)についての「知識」です。それに対して桜井章一先生や土田浩翔先生のやり方は、七対子(チートイツ)についての「知恵」をつけさせる方法といえます。
前回の記事に、こう書きました。
「先の桜井章一先生の言葉や土田浩翔先生のシステムに関しても、その言葉の上っ面だけをとらえるのではなく、その本質を見分ける必要がある」
桜井章一先生や土田浩翔先生は、私がいままで述べてきたことをすべてわかった上で、あえてその説明からトイツ場を語らなかったのです。彼らは筋牌を残すことでトイツ場を実感させ、トイツ場やあるいはその他の場に対応する「知恵」をつけさせようとしているのではないでしょうか。
もしかすると、そういった意図があるのかもしれませんし、ないのかもしれませんし、それ以上の深い意図が隠されているのかもしれませんし、隠されていないのかもしれません。
4トイツ時(二向聴時)の5牌
のトイツは単独で・の制限牌を作ります。のトイツは単独で・の制限牌を作ります。それに対してのトイツは、単独で制限牌を作ることができません。よってトイツ場かどうかの判断にあまり適しません。なのでは重なることを期待せずに、積極的に切りたい牌になります。
ただには「赤」がありますのでその引きを待ちたい。またはが手の内にあって切りたくないということもあります。その折り合いをどのようにつけていけばよいのでしょうか。今回は点数の面から考えてみたいと思います。
七対子(チートイツ)の子の点数は、ご存知のとおり以下のようになります。
2翻 1600 / 3翻 3200 / 4翻 6400 / 5翻 8000 / 6翻 12000 / 7翻 12000 / 8翻 16000
それぞれの点差で考えると
2翻→3翻(+1600) 4翻→5翻(+1600) 6翻→7翻(+0) はそれほどうれしくはない。
3翻→4翻(+3200) 5翻→6翻(+4000) 7翻→8翻(+4000) は結構うれしい。
ということはが手の内にくることを期待したいのは、3翻・5翻・7翻のときになります。
3翻(七対子+タンヤオ)
5翻(七対子+ホンイツ or リーヅモタンヤオ)
7翻(七対子+ホンイツ+リーヅモ or リーチタンヤオ)
これらの手にがあれば「うれしい」となるわけです。
ということで「ホンイツ」や「タンヤオ」があればの引きを期待してを残すのはあり、またはが手の内にあれば持ち続けるのもありかもしれません・・・ しかし・・・
の引きを期待するというのは
すべての牌の数 136枚
自分の手牌 13枚
王牌 14枚
他家の手牌 13×3=39枚
王牌以外の牌山 136-(13+14+39)=70枚
自分の手牌以外の牌 136ー13=123枚
王牌以外の牌山にがあり、かつ自分がツモる確率 70÷123÷4=0.142276≒14%(考え方あってます?)なので厳しいです。
逆に自分の手にがあって、単にの引きを待つのなら確率は3倍だから
14×3=52% なので、ありっちゃありでしょうか。
でも中張牌に関しては山読みがしづらいのは以前述べたとおりで、七対子(チートイツ)という役を目指すなら、そこにタンヤオを複合させるのは損な選択かもしれません。
ホンイツに関しては七対子(チートイツ)にホンイツを複合させるというより、ホンイツを目指している中で七対子(チートイツ)含みになってきたという方が近いでしょう。その場合基本的に赤引きを期待するというより、手の融通を利かせるのに都合がよいためを残すのは普通の選択でしょう。
ということでトイツ系牌効率においては、普通のに関しては、基本的に赤引きを考えず積極的に切っていきます。についてもそれほど固執するのではなく、合わせ打ち等で処理するのを基本方針とするのがよいのではないでしょうか。
ただ赤が手牌に2枚ある場合、特に一方がすでにトイツになっている場合は「七対子(チートイツ)+リーヅモ+赤赤」が見えますので、大きな点数が欲しいときなどは優先的に残すこともあるでしょう。あるいは、その赤牌を迷彩に使って、出和了を狙う作戦もあります。その辺はまた別で考察します。
4トイツ時(二向聴時)の2・8牌
7巡~12巡の段階では「2・8牌」「3~7牌」いずれも場に(自分の持っている牌以外に)一枚も見えていない牌の方が、見えている牌に比べてツモりやすい(山に残っている可能性が高い)というのが統計上証明されています。
それで一枚場に見えることでツモる確率が、「2・8牌」「3~7牌」ともにそれぞれ下がるのですが、その下落度合いが「3・7牌=約0.93%」>「2・8牌=約0.90%」となります。ここから「2・8牌」は1枚切られても、まだ山に残っている可能性がある。つまり相手の手牌にはあまりない、ということが読み取れます。
逆に「3~7牌」は1枚切られると、その時点で山に残っている可能性が少ないです。
すると「2・8牌」は「3~7牌」よりはやや有用でしょう。場に見える数で山にあるかどうかの判断がつけやすいからです。簡単に言えば「≧」です。
しかし以前の記事にあるとおりのトイツは・を制限するのに対して、のトイツはしか制限しません。トイツ場をより正確に把握したいなら「>」です。ということで「2・8牌」と「3・7牌」の優劣は微妙です。
ただ、確かに「2・8牌」は山にあるかどうか読みやすい牌ですが、「1・9牌」と比べるとそれほどではありません。もちろん「字牌」「役牌」に対してもそうです。つまり「2・8牌」には上位互換が多くあるので、何もなければ七対子(チートイツ)らしさを消す「2・8牌」切りになります。
そこで基本的に「2・8牌」は合わせ打ちです。「3・7牌」については「シュンツ場と判断するなら合わせ打ち」「トイツ場と判断するなら合わせない」という戦術もあります。これについてはまた後日考察します。
どちらにしろ「2・8牌」と「3・7牌」の優劣は、やや「3・7牌」の方が優位です。しかしその差は微妙です。そこでその判断を下すには、やはり筋牌の力を借りる必要があるでしょう。
具体的にはとあれば、遠くにのコンボが望めますので、あえて山にあるかどうかが読みやすいを切るのが手筋になります。理由は先ほど述べたとおり「2・8牌」には代わりが多くあるためで、「3-6」「4-7」の筋があるならそちらを優先的に残すのです。
とあればを切るのが手筋です。なぜならを重ねたところで制限する牌は1種類しか増えませんし、その増えるも自分で二枚使っており相対的に他家にある可能性が低いからです。逆にを重ねられると・という2種類の牌を制限します。
とあればどうでしょう? を重ねると・・を制限します。を重ねると・・を制限します。制限する牌の種類数は同じです。それならば山にあるかどうかが読みやすいを残してを切りましょう。
とあればどうでしょう? を重ねると・・を制限します。を重ねると・・を制限します。制限する牌の種類数は同じです。なら先ほどの理由と同じで、を残して切りです。より内側に近い牌を制限するのも利点の1つです。
気づかれたと思いますが、やはり筋牌が大切という結論になります。トイツ場ではスジ牌同士が重なりやすいと考えて残していくのは、「3-6」「4-7」だけでなく、「2-5-8」でも有効です。
4トイツ時(二向聴時)の1・9牌
今回は4トイツ時の「1・9牌」について考察しましょう。
前回も見ていただいたこのグラフ。「1・9牌」に注目です。「1・9牌」の「1枚見え」から「2枚見え」の下落度合いは、「0.89%」です。「2・8牌」の「0.90%」よりも少なくなっています。つまり「1・9牌」は「2・8牌」よりも、さらに山にあるかが読みやすいといえます。
だから「1・9牌」は「字牌」「役牌」についで大切な牌だと、これまでもことあるごとに触れてきました。しかし唯一「1・9牌」を他の牌より優先的に切る場面があるのです。それはそれぞれの筋牌である「4・6牌」がトイツになったときです。
つまりからはを、からはを切るのです。しかし今まで「筋牌を大切にしましょう」と主張していたのではないのか? との疑問は当然あるでしょう。では、どういうことか考えてみましょう。
からを重ねるととなり、・を制限するのでトイツ場が把握しやすくなります。ならばは残しておくべきではないかとなりますが、よく考えればがあればがなくてもそれなりにトイツ場の傾向にあるとわかるのです。
相手にとあった場合は当然ペンチャンです。が少なければカンチャンへの変化、さらにリャンメンへの変化を制限します。とあった場合はカンチャンです。が少なければリャンメンへの変化を制限します。とあった場合でも、が少なければシュンツになりにくいので相対的にトイツになりやすいと言えるのです。
それでも「1・9牌」は山にあるかどうかが読みやすい牌なので、残しておいてもよいのではないかと思われるかもしれません。しかしここでとトイツにしていることの問題点があるのです。
通常相手の手にとあった場合、そこにを持ってくるとタンヤオの変化や、の受け入れのことを考えてを切り、とします。いわゆるスライドと呼ばれるやつです。よって「1・9牌」は捨てられやすく、「相手の手牌にはあまりない」→「山にあるかどうか読みやすい」といえるのです。
しかしが少ないと、仮に相手の手にとあった場合、上記の変化が起こりづらいです。そのため、は相手の手牌に残りやすくなります。すると当然が山にあるかどうかが読みづらくなり、「1・9牌」を残すメリットが減るのです。
ということで「1・9牌」は基本的に山読みしやすい大切な牌ですが、それぞれの筋牌である「4・6牌」のトイツが手の内にできたときは切るという法則ができあがるのです。この法則はある意味「土田システム」とも関連しているのですが、その関連性についてはまた別の章で解説します。
とはいえからはを重ねると・を制限するのでを切ります。が重なると上記にあるとおりそれなりにトイツ場の傾向にあるとわかるのですが、やはり同じ「4」でも単独よりは筋牌があるほうが大切になります。(ややこしい?)
孤立牌ランキング
トイツ濃度ランク
ここまで何度か話に出てきている土田浩翔先生は、麻雀が強くなるトイツ理論P187にて、「トイツ濃度ランク」を示しておられます。
「トイツ濃度ランク」とは、「トイツ場に入ったときトイツになりやすい、もしくはタンキ待ちとなった際の有効度をあらわしたもの」だそうです。以下がそのトイツ濃度ランキングです。
A. 1・9牌、オタ風牌
B. 2・8牌、自風牌
C. 4・6牌、三元牌
D. 5牌、場風牌
E. 3・7牌
トイツをランクわけする
さらに土田浩翔先生はコラムの中の「トイツをランク分けする」にて、A~Dに牌種を分類しています。これは本文によると、このような意図をもったランク分けです。
34種類の牌を、対子として使う場合についてAランクからDランクまで分類します。Aランクが最も孤立牌として良い役割をしてくれると思える牌です。
まぁ、書籍での「トイツ濃度ランク」と同じようなものでしょう。
A. 1・9牌
B. 2・8牌、オタ風牌
C. 4・6牌、5牌、三元牌、場風牌
D. 3・7牌、ドラ表示牌
書籍での「トイツ濃度ランク」と照らし合わせてみると、「5牌」「場風牌」の扱いが「4・6牌」「三元牌」と同じになっているだけで、ほぼ同じです。
ツキの無いときのランキング
そして土田浩翔先生は上記のランクに続いて、「ツキの無いときのランキング」として、このように牌種を分類しています。
A. 3・7牌
B. 1・9牌、2・8牌、三元牌、場風牌、ドラ表示牌
C. 4・6牌、5牌、オタ風牌
D. ドラ牌
数牌のみ注目してみると、「3・7牌」がD→Aランクになっています。そしてその割を食う形で、「1・9牌」がA→Bランクとランクを落としている格好です。
トイツ系牌効率孤立牌ランク(4トイツ)
さて、私が提唱するトイツ系牌効率においての牌ランクは、どうなっているのでしょうか。これまでの話によって、以下のように分類されます。
A. 3・7牌
B. 1・9牌
C. 2・8牌
D. 4・6牌
E. 5牌
Aランクの「3・7牌」は、特にトイツ場傾向の把握という点で、4トイツ時点では最も重要視されます。この章の最初に書いた通りです。
Bランク「1・9牌」とCランク「2・8牌」の差は、統計にあるツモりやすさ、山読みのしやすさにある通りです。特に1枚切れでは、その差は顕著です。これは七対子聴牌時や、イーシャンテン時の選択とも同じです。
Dランク「4・6牌」とEランク「5牌」は、ともに山読みがしにくい牌種です。また単独で制限牌が作れないため、トイツ場傾向の把握という点でもランクが下がります。ただ「4・6牌」は、Aランクの「3・7牌」とのつながりで、「3-6、4-7」という黄金パターンの筋を形成します。そのため「4・6牌」は「5牌」より有用です。
実はこの「トイツ系牌効率牌ランク」ですが、先ほど確認した土田浩翔先生の「ツキの無いときのランキング」と酷似しています。まずAランクが「3・7牌」なのは同じです。
また土田浩翔先生の「ツキの無いときのランキング」Bランクには、「1・9牌」と「2・8牌」があります。平常時において「1・9牌」はAランクにいました。その「1・9牌」がBランクに降りたと考えると、「1・9牌」と「2・8牌」には多少差があって、やはり「1・9牌≧2・8牌」と考えられます。
そして土田浩翔先生の「ツキの無いときのランキング」Cランクの「4・6牌」と「5牌」ですが、麻雀が強くなるトイツ理論P187の「トイツ濃度ランク」では、Cランク「4・6牌」、Dランク「5牌」となっています。やはりここにも差があり、「4・6牌≧5牌」と考えられます。
すると、「トイツ系牌効率牌ランク」は、土田浩翔先生の「ツキの無いときのランキング」と全く同じであると言って差し支えありません。
なぜ「通常時」ではなく、「ツキの無いとき」と同じになるのかは、また別の場所で考察するとしますが、とりあえずトイツ系牌効率として4トイツ時の孤立牌ランクは「3・7牌>1・9牌>2・8牌>4・6牌>5牌」となります。
4トイツ時のメンツ手か七対子かの判断
「トイツ系牌効率」に従って打っていれば、なかなかそうはならないでしょうが、4トイツ時にメンツ手とチートイツの分岐点になる手牌はあります。それについていろいろな意見と、それに対する考えを書いてみたいと思います。
チートイツ含みのピンフは損
「最新流行手筋」P34・35にこうあります。
チートイツへのわたりをとれば打。しかし、ここはをはずすのがピンフの手筋。
のリャンメンカンチャンの好形になるので、ここからを切るのは納得です。ですがそのトイツが、例えばのトイツだったらどうするのでしょうか。
この牌姿でピンフを見るなら、かを一枚外して、くっつきを求めたいところです。ですがその場合はさすがに、チートイツも考えて切りでしょう。
最初の牌姿から一枚かわって、この形についても「最新流行手筋」P34・35に書かれてあります。
イーペーコー含みとリャンメンカンチャンの選択では、イーペーコー含みがよいという結論が出ている以上は、ここでは打。
この選択はチートイツだからではなく、ポンしてのタンヤオ仕掛けも含みにしているからだと思われます。ただかなり危険な構えになっていますので、個人的には河をよく見て、安全牌が確保できている状態にはしておきたいです。
全方位鳴き
福地誠氏は「麻雀勝ち組の選択」P98~100にて、こう述べています。
または切り。どこから鳴き始めても役なしになる心配がなく、しかもそこそこの点数になりそうです。リャンメンや字牌トイツを完備していたら、鳴きによるスピードアップにより、まだ無メンツでも、あっという間に仕上がる可能性は十分にある。
確かに役牌2組に赤牌なので、鳴いての仕掛けが本線になりそうです。実戦では福地誠氏はを切ったそうです。おそらくを残すことでの受け入れを考えたのでしょう。実際にはその後、他家からリーチがかかったものの、をポンしてのトイツ落とし、をチーをツモってで2000点の和了だそうです。
しかし個人的にはメンツ手だとしても、マンズ1メンツ、ソウズと役牌で3メンツ+雀頭と考えます。するとピンズメンツは必要ありません。ならを切ってやなどのツモからチートイツやトイトイへの変化を残したいです。切りでチートイツの目を完全に消すのはどうかと思います。
「ネット麻雀ロジカル戦術入門」には、他の意見もあり、古久根英孝氏は切り、小倉孝氏は切り、茶柱立樹氏は切りという意見で、全員がホンイツに触れていました。
確かにおっしゃる通り、ホンイツを含めて全方位鳴きの手牌でしたね。
ツモの流れを見る
井出洋介氏は「東大式麻雀に勝つ考え方」P63にて、こう述べています。
東1局、3巡目、西家、ドラ
ツモ
まだ3巡目であれば、早めにやを先切りしてピンフを狙うのが基本的な打ち方ですが、この段階ではまだ一メンツも完成していないのですから、もう少しツモの流れを見た方がよさそうです。
つまりここでは打としておくということでしょう。はチートイツの待ちごろの牌ですから、残しておきたい気持ちはあります。ですがリャンメンターツが3組もあるのですから、メンツ手になる可能性も十分あります。
なので数巡様子を見て、メンツが一つでも完成するならメンツ手へ進み、さらにトイツができてチートイツのイーシャンテンになれば、改めて待ちごろの牌を探すということでしょう。
5ブロックチートイツ
似たような牌姿で、別のアプローチがあります。小林剛氏は「スーパーデジタル麻雀」P46・47にて、こう述べています。
ドラ
一番弱いの部分から捨てて強い5ブロックを残した方がよい。
トイツを落とすのですから、チートイツをあきらめたように思います。ですが、こう続きます。
ところがを2枚切っていく場合、手牌にもう一枚余裕ができるので、予定とは違って再びトイツが増えていく場合がある。
ツモ 打
ツモ
さすがにここはアガリまでの手間を考慮してチートイツ重視に方向転換し、単独の牌のどれかを切るという選択も生まれる。
つまりトイツを落とすのは、チートイツをあきらめるのではなく、チートイツ復活を含みにしているということです。なかなか面白い話です。
ですが、「トイツ系牌効率」に従って打てば、こうなります。
打
ツモ 打
ツモ 打
このようにドラ単騎待ちの聴牌となっています。まぁ、これは野暮な話ですが…
コメント