躱しのトイツ系牌効率
麻雀の場は「シュンツ場」「混合場」「トイツ場」「コーツ場」に分類されます。そして、基本的には「混合場」と呼ばれる場になることが多いです。
通常の牌効率は混合場に軸足を置きつつ、シュンツ場にも対応できるようにしています。そのような中、トイツ系牌効率では、トイツ場に軸足を置きつつ、混合場に対応できるようにします。これはトイツ場になった時に、自分一人が有利に戦えるからです。
そこで混合場においての、トイツ系牌効率の戦い方です。トイツ場では七対子一直線で問題ありません。牌がそのように来るからです。ですが混合場では、トイツ系牌効率は一般の牌効率と比べて、一歩出遅れてしまいます。そこで何かの保険を掛ける必要があります。
これまで述べてきた七対子の保険には、オリがありました。ダメなら守備力を活かして降りてしまおうというのが、トイツ系牌効率の考え方です。
ただ麻雀は躱さなければいけない場面もあります。ある特定の相手に和了られたくないなどです。これまで述べてきたトイツ系牌効率は、そのような場面では用いるべきではない、と述べてきました。
だからといって躱すべき場面で一直線に進めるなら、なんのひねりもありません。そこで躱しに対応し、かつトイツ場で有利を得るための、トイツ系牌効率を考えてみようと思うのです。
七対子の相棒探し
受けを重視したトイツ系牌効率における七対子の相棒は、国士無双です。ダメな場合オリるのに都合の良い手役です。では、躱しを重視したトイツ系牌効率における七対子の相棒は何になるのでしょうか。
形だけで考えると、一盃口があります。一盃口が完成していると、頭を加えると4トイツです。4トイツは七対子を意識するのに十分なトイツ数です。ただよく考えると、七対子が無理だから一盃口に向かうというような方針転換はできません。
七対子と一盃口は一心同体です。七対子で進めていたら、一盃口ができていたとか、一盃口含みで進めていたら、七対子っぽくなったみたいな感じです。「俺を置いて、お前は先に進め」みたいなことにはならないので、一盃口は七対子の相棒にはなり得ません。
役牌が七対子の相棒候補に挙がると考える人がいるかもしれません。確かに七対子を進めていく中で、役牌のトイツができることは普通にあります。そして場の状況に合わせて、その役牌をポンして和了に向かうこともあるでしょう。
ですが役牌も、トイツ系牌効率における七対子の相棒にはなり得ません。というのも役牌のトイツがあれば、それをポンしていくのは一般の牌効率だからです。躱しの状況で役牌のトイツがあった場合は、一般の牌効率に従って進めるべきです。
字牌を大切にするトイツ系牌効率で序盤は進めていき、役牌のトイツが重なった時点で一般の牌効率に切り替えるというのも一つの手です。ただトイツ系牌効率からすると、一般の牌効率への切り替えが早すぎます。一般の牌効率からすると、オタ風牌の処理に無駄が生じます。中途半端感は否めません。
実は混合場における躱しの七対子の相棒は、タンヤオになります。タンヤオと七対子は一見相容れないように思えます。ですが互いに弱点を補いあって、割と相性の良いバディなのです。
タンヤオと七対子
七対子は守備力を保ちやすいという利点があります。ですが反面、速度が出にくいという弱点があります。対してタンヤオの利点は速度が出しやすいことです。弱点は守備力が保ちにくいことです。
このように七対子とタンヤオは、互いに利点と弱点が表裏になっています。このことは一見二つの役が両立しない理由になりそうですが、実はそうではありません。
和了らせたくない相手から仕掛けが入った場合、速度を合わせるためにタンヤオなら、こちらも鳴いて進めることができます。
そしてその際、比較的安全な字牌を切れることがいいです。つまりタンヤオの弱点である守備力が、七対子含みで進めていることにより確保されており、また七対子の弱点である速度が、タンヤオに向かうことで解消されるのです。
1・9字牌について
ではそのような手組にするためにどうすればよいのでしょうか。当然タンヤオ含みで進めるのですから、1・9牌は不必要です。山読みがしやすい牌は字牌で十分と考えます。そこで孤立の1・9牌は積極的に切り出します。
字牌に関しては、タンヤオターツの数だけ持っておくとバランスが良いです。麻雀は4面子をつくるゲームです。タンヤオ牌で4面子作ることを考慮に入れると、面子を一つ完成させるごとに4から1つずつ減らしてカウントすると、字牌を残す目安がわかります。
すると字牌トイツが2組できるのは、トイツが増えたという点ではうれしいですが、攻守のバランスで考えると手組が難しいです。つまりタンヤオで進めるのか、七対子で進めるのかの分岐点になります。通常手と七対子の分岐点は3トイツです。タンヤオと七対子の分岐点になると、それが早まる可能性があるのです。
1・9牌のトイツがあった場合は、その分字牌を持つスペースがなくなります。そのため躱しのトイツ系牌効率においては、狙っての七対子が難しくなります。すると面子手への意識が強まりますので、判断は一般的な牌効率に近くなるでしょう。
3~5牌について
躱しのトイツ系牌効率におけるキー牌は、2・8牌になります。なぜ2・8牌かというと、タンヤオに向かうときにポンしやすいからです。なのでトイツができるように、2・8牌を優先して残します。
3~5牌はポンしにくい牌ですが、当然タンヤオに向かうには必要な牌です。それらは、ターツになるよう残すのがポイントです。
2・8牌がキー牌ですから、そこに絡まない5牌は優先度は落ちます。3・7牌と4・6牌の比較は微妙です。ですが、タンヤオにならない1・9牌と絡まない4・6牌の方が、やや優先です。
まとめるとこうなります。
2・8 > 4・6 ≧ 3・7 > 5 > 1・9
3トイツ以下の躱しのトイツ系牌効率
3トイツ以下の七対子初期の段階では、トイツ場に軸足を置きながら、混合場にも対応できるように手を進めます。七対子に向かう中でそれがダメだった場合、オリに向かうのがトイツ系牌効率です。そのオリの代わりにタンヤオを保険に使おうというのが、躱しのトイツ系牌効率です。
タンヤオには1・9牌が不必要です。なので躱しのトイツ系牌効率では、通常のトイツ系牌効率とは1・9牌の扱いが変わります。それを踏まえて、パターンを確認しましょう。
ペンチャンと単独牌の比較
ペンチャンと単独牌の比較では、ペンチャンと2・8牌、ペンチャンと4・6牌、ペンチャンと5牌のパターンが通常のトイツ系牌効率と、躱しのトイツ系牌効率では違います。どちらも1・9牌の扱いによる違いです。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。
が来て面子が完成するよりも、
や
を重ねてタンヤオのトイツ、もしくは
などをツモってタンヤオターツを作りたいと考えます。
ただその後をツモって
となったら、
を切ってフリテンの
を残します。これはリャンメンではなく、
待ちのペンチャンと考えます。
チーでタンヤオターツが完成することも大きいです。
からは通常のトイツ系牌効率なら、場の状況によって決定します。
に関する色が高ければ
切り、その色が安ければ
切りになります。ですが、躱しのトイツ系牌効率なら、場の状況がどうであろうと
切りになります。これも先ほどと同様にタンヤオトイツやタンヤオターツを作る意識です。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。上記と考え方は同じで、タンヤオトイツもしくはタンヤオターツを作ることを目指します。
とりあえず1・9牌を優先して切ることを意識しておけばよいでしょう。
カンチャンと単独牌の比較
カンチャンと単独牌の比較では、1・9牌の扱いもそうですが、ターツを作る意識が変わります。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。タンヤオターツは優先して残されます。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。これは
がタンヤオターツではないことに注意です。
を切った状態から
をツモってしまうと
となり、フリテンターツが残りますが、
を切ります。
はペンチャンのタンヤオターツと考えます。
それぞれの縦重なりでタンヤオトイツが完成するだけではなく、
のチーでタンヤオ面子が完成します。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。
をツモったり、
の周辺をツモってのタンヤオターツや、直接重ねてタンヤオトイツを狙います。
からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。タンヤオターツが優先して残されます。
4トイツ時の躱しのトイツ系牌効率
4トイツ時には、ターツを壊すように牌を残すのが通常のトイツ系牌効率です。しかし躱す場合は逆になることに注意です。
つまり からは
を切るのが通常のトイツ系牌効率ですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。
からは、通常のトイツ系牌効率では
切りですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。
からは、通常のトイツ系牌効率では
切りですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。
言い換えるなら、筋になる牌を優先して残すのが通常のトイツ系牌効率ですが、ターツになる牌を優先して残すのが躱しのトイツ系牌効率です。
そもそも筋になる牌を優先して残すのは、トイツ場かどうかを把握するためでした。そしてトイツ場でないと把握できるなら、慎重にしようという方針です。ですが躱しのトイツ系牌効率では、慎重にするわけにはいかないのですから、トイツ場かどうかを把握する必要がありません。むしろ混合場だと想定して進める必要があるのです。
そう考えると、より一般の牌効率に近くなるのも理解できるでしょう。
からは、通常のトイツ系牌効率では
切りですが、躱しのトイツ系牌効率では
切りになります。これはタンヤオの変化を見たものです。
もちろん一般の牌効率では切りで面子を確定します。その場合
をツモれば
と振り替えて、タンヤオへ向かえます。ですが
チーの打
の食い変えはできません。
一方からの
切りは、
チーの打
でタンヤオ面子が完成します。その点では食い変えを想定した先切りとも言えます。面子を壊すのには抵抗がありますが、4トイツですからリーチは見切って、タンヤオと七対子に絞り、状況に合わせてすぐタンヤオに進めるようにしておくのです。
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