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イーシャンテン(5トイツ)のチートイツ手筋【トイツ系牌効率1】

麻雀の新戦術 トイツ系牌効率

麻雀の新戦術

将棋の戦法には大きく分けて「居飛車」と「振り飛車」があります。最初に「振飛車」をやった人はすごいですよね。だって一見、一手損な感じがするじゃないですか。

その「居飛車」と「振り飛車」の優劣はもしかするとあるかもしれません。しかし、現在、研究されまくっている将棋でも、その優劣は完全には分かっていません。

そして「居飛車」の中にもいろいろな戦法があり、「振り飛車」の中にもいろいろな戦法があり、それぞれの優劣も分かっていないものが多いです。

さて麻雀ですが、将棋のように多種多彩な戦法はあるのでしょうか? ないことはないでしょう。「牌流定石」「亜空間殺法」「土田システム」「ツモ牌相理論」などなど。

しかし、それらは「デジタル」だとか「ロジカル」だとか「牌効率」だとかそういう系から「オカルト」とまとめられて、いらない子扱いになっています。麻雀の戦術には「デジタル」的なものしかないのでしょうか?

将棋の「振り飛車」戦法は、「居飛車」戦法から「オカルト」扱いは受けていません。麻雀における「振り飛車」戦法はないものだろうか。あるとすればどんなものになるのでしょうか。

そんなこんなで、行き当たりばったりで思いつく限り、書き散らかしてみようかと思います。

七対子は一向聴から聴牌まで平均14巡かかる?

麻雀の新戦術の鍵は、「七対子(チートイツ)」にあるでしょう。

七対子の場合、一般の牌効率とは異なる選択によって、役が成立することが少なくありません。その愛すべき「七対子(チートイツ)」について考える中で、気づいたこと思いついたことひらめいたことなどがある程度たまってきました。それらを思いつくまま、あれこれ書いていこうと思います。

ところで、麻雀をする人間を2種類に分けると「七対子(チートイツ)派」か「トイトイ派」に分けられるそうです。トイトイ派の意見を見てみましょう。

小倉孝は「最強デジタル麻雀」P64・P116で、は「5トイツ(七対子イーシャンテン)からでもトイトイを選ぶ」と言っています。その理由は、チートイツはツモ次第になるし、最後は単騎待ちになるからだそうです。

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その考えを後押しするような内容が、福地誠著「ロジカル戦術入門」P157に載っています。

そのまま抜き出してみますと、こうあります。

チートイの難しさは1シャンテンのときにあわられます。テンパイするまでがえらく大変なのです。ツモ1回でテンパイする確率は7.5%で、1シャンテンからテンパイまで平均して14巡かかります。なんとビックリの数字で、流局するまでテンパらない方が普通なのです。

「ロジカル戦術入門」P157

私たち「七対子(チートイツ)派」としてはなんとも恐ろしい話です。でも「本当にイーシャンテンから聴牌まで、14巡もかかるの?」と疑問に感じませんか。ということで麻雀の新戦術「トイツ系牌効率」の取っ掛かりとして、まずはここから始めていきます。

まず上記の「平均14巡」という数字が、どのように出てきたかを考えてみます。おそらくこういうことでしょう。

麻雀牌全体の数から自分の手牌の数を引いて、自分から見えない牌の数をだす。
136牌-13牌=123牌

七対子(チートイツ)イーシャンテンでの受入は9枚。それを見えない牌で割って、1巡あたりに有効牌を引ける確率をだす。
9牌÷123牌=7.3…%≒7.5%

7.5%は100回巡あたり7.5回引けるという意味です。だから、有効牌ツモ1回あたり何巡かかるかをだすと、「100巡÷7.5≒13.3…巡≒平均14巡」となります。確かに平均14巡かかっていますね。

この「平均14巡」を出すもう1つの方法は、1巡目・2巡目・3巡目…50巡…100巡目…と、それぞれの巡目に有効牌をツモる確率をだし、その確率にそれぞれの巡目を掛けることで「のべツモ巡数」をだします。そしてその「のべツモ巡数」を片っ端から足していけば(足せば足すほど)13.3…≒平均14巡に近づいていきます。

それをグラフにしたものがこれです。

小数があるとわかりづらいので100人がこのツモゲームに参加したという体にしてみました。つまりこのグラフの数字を全部足して100で割ればあの「13.3…平均14巡」になります。

ところで平均は単純で非常にわかりやすいのですが、思わぬ落とし穴もあります。それは、平均にはいくつかの種類があり、何を知りたいのか、何を問題にしているのかによって、これらを使い分ける必要があるということです。また、異常なデータの影響を受けやすい点にも注意が必要です。

有名な例でいえば、こういうものがあります。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によると、日本における2人以上世帯の金融資産の平均値は1,563万円、対して中央値は450万円になります。

話を戻して、先ほどのグラフについてです。

このグラフでいえば、「13.3」という数字がこのグラフの頂点ではありません。実は「12.8」が、このグラフの頂点です。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それはグラフを見ればわかります。右の方に長く尾を引いていますね。それによって、平均も右に引きずられるのです。

「だから何なの?」という声には耳をふさいで、さらにこの問題を考察します。

平均とは?

前回も話題に出しましたこれ(↓)に関して、前回とは違った角度から考えてみましょう。

チートイの難しさは1シャンテンのときにあわられます。テンパイするまでがえらく大変なのです。ツモ1回でテンパイする確率は7.5%で、1シャンテンからテンパイまで平均して14巡かかります。なんとビックリの数字で、流局するまでテンパらない方が普通なのです。

「ロジカル戦術入門」P157

さて、この話を聞いてどう思うでしょうか。ある人は「14巡? まぁ、そんなもんじゃないの」となるかもしれません。またある人は「14巡? えー! そんなにかかるとは思えないなぁ」となるかもしれません。

私が後者の立場だったのは、前にも言ったとおりです。そしてどちらが多いかというと、おそらく「もっと早くテンパるんじゃないの?」と思う人の方が多いんじゃないでしょうか。

もっと早く聴牌すると感じる理由、その1

なぜ「もっと早くテンパるんじゃないの?」と感じてしまうかには、理由がいくつかあります。まずはその1つ目からお話しします。

たとえばある局で、七対子の一向聴から、5巡で聴牌しました。
また別の局では、七対子の一向聴から、12巡ツモれず流局しました。
さらに別に局では、七対子の一向聴から、11巡で聴牌しました。
計算では (5+12+11)÷2=14 で平均14巡 となります。

しかし、パチンコなどの例をだせば「勝ったときのことは覚えていても、負けたときのことは忘れてしまう」こともあるように、上記の例は脳内ではこのようになってしまうのです。

(5+11)÷2=8 で平均8巡

英ケンブリッジ大学行動臨床神経科学研究所のLuke Clark博士は、このように研究しています。

「僅差の負け」においては脳内の領域「腹側線条体(ventral striatum)」「両側前島皮質(anterior insula)」が「勝利」の時と同様に活性化することが判明した。要は「僅差の負け」なら「負け」でも脳内では「勝った」のと同じような興奮状態におちいる

つまり麻雀に関して言えば、ツモはだいたい18巡で終わります。だから、それで聴牌できなかったとしても、それは「完全な負け」とはなりません。「僅差の負け」となり、脳内においては「勝った」のと同じような興奮状態になります。つまり「負け」としての記憶には残らないのです。

そして七対子が聴牌したときのことだけが頭に残るため、実際よりも早く聴牌するように感じるのです。

もっと早く聴牌すると感じる理由、その2

「もっと早くテンパるんじゃないの?」と感じてしまう理由の2つ目は、前回の記事にも書いた

ところで平均は単純で非常にわかりやすいのですが、思わぬ落とし穴もあります。それは、平均にはいくつかの種類があり、何を知りたいのか、何を問題としているかによって、これらを使い分ける必要があるということです。また、異常なデータの影響を受けやすい点にも注意が必要です。

というものがあります。

このグラフでいえば右の方の「67」とか「68」とか…あるいはずーっと向こうの「100」とか「200」とかが、上記の「異常なデータ」にあたります。先ほどの例でいえば、聴牌できなかった局がそれにあたるかもしれません。しかしそれらを単純に、異常値として切り捨てるわけにはいきません。

そこでデータの個数がきわめて多く、なおかつ右に長く尾を引く分布の場合、データの性質から適当と思われる位置から代表を選んだり、あるいは一列に並べたデータをいくつかに区切って、それぞれの区分の中から代表を選べば、より実状にあった情報が得られます。たとえば四分位点というものがあります。四分位点とは、データを小さい方から順に並べてそれを4等分したときの3つの分位点のことです。(完全に参考書の受け売りです)

第1四分位点(25%分位点)≒3.68巡
第2四分位点(50%分位点)≒8.89巡
第3四分位点(75%分位点)≒17.78巡

こんなグラフを見せられて「だから何?」と思われるかもしれません。ですが、第2四分位点に注目してください。これは50%分位点です。要するに、9巡の時点で2回に1回は聴牌することができるのです。

「あれ? 聴牌するのに平均14巡かかるんじゃなかったの?」と思われるかもしれません。確かに平均は14巡です。しかし50%の確率は9巡なのです。これが「もっと早くテンパるんじゃないの?」と感じてしまう理由の2つ目です。

普通「平均」といわれると「50%」のイメージがあるのですが、必ずしもそうとは限りません。つまり最初のグラフが右の方に長く尾を引くことにより、「平均」と「50%」がずれるのです。そのために平均で示される巡目よりも、実際にツモる感覚の方が早いのです。

「もっと早くテンパるんじゃないの?」と感じてしまう理由の3つ目は、ツモる確率の高い(山に残っていそうな)牌を自分で選んで残せるからです。それに関しては次の章で考察しましょう。

七対子一向聴における残すべき牌の考察

前回の記事までで「七対子(チートイツ)の一向聴から聴牌までにかかる巡目は?」について、2つの目安を提示しました。

平均≒13.333巡…だいたい14巡
第2四分位点(50%分位点)≒8.89巡…だいたい9巡

言い出せば他にもミッドレンジだとか、モードだとか、四分位偏差だとか、なんかいろいろと目安になる巡目があります。ですがこんなにたくさんあれば、どれを基準にすべきなのかわからないですよね。

私としては50%分位点(メディアン)を基準にするのが、一番しっくりくる気がします。ですが「何で他のやつじゃダメなのか」と言われると、言葉に詰まります。

そこでようやく前回の記事の最後に書いた、「ツモる確率の高い(山に残っていそうな)牌を自分で選んで残せる」という話です。

いままで確率がどうのこうのといろいろ言ってきましたが、結局麻雀なんてものは、運が良ければ中ぶくれカンチャンでも一発でツモれます。そして運が悪けりゃ三面張であっても、永遠にツモ切りが続きます。

つまり七対子(チートイツ)の一向聴から聴牌までにかかる巡目が、平均14巡だろうがメディアン9巡だろうが、それは1つの目安に過ぎません。自分で道を切り開こうとするならば、そんな目安は参考程度にしておいて、狙うならしっかりと狙えばいいのです。(今までの話は何だったんだ?)

まぁ、そんなこんなで、まずは以下のグラフをご覧ください。上から「1巡~6巡」「7巡~12巡」「13巡~18巡」のツモ巡について、その牌をその巡目でツモる確率を統計によって出したものです。

たとえば「13巡~18巡」のグラフで言えば、2枚見えている役牌のツモ確率は「6%」です。2枚見えの風牌もほぼ同等の数字ですね。

これを七対子(チートイツ)一向聴に置き換えて考えます。自分の手牌に1枚あるわけですから、河に1枚捨てられている状況が「2枚見え」です。ですので七対子(チートイツ)に関して言えば上記のグラフで必要なものは「1~3枚見え」であって「0枚見え」は関係ありません。

さてこのグラフから何が読み取れるかというと、ポイントはやはり字牌になります。

さきほど例に出した【13~18巡】での「2枚見え字牌」ツモ確率約6%は強力です。つまり一枚捨てられている字牌は、終盤において重ねやすいと言えます。

それを踏まえて【7~12巡】のグラフを見ると、「1枚見え字牌」が約4.4%と高くなっています。つまり7~12巡の段階で「1枚見え字牌」だったのが13巡~になってそのままツモったり、「2枚見え字牌」になってツモるケースが多いのです。

まとめると「字牌は12巡までに2枚切られない限りキープしておくと重ねやすい」です。(逆に言えば12巡までに2枚切られることが多いってことなんでしょうけれどね)

1・9牌については字牌から「-1」した感じになりそうです。7~12巡に関しては「1枚見え1・9牌」、つまり河に一枚も出ていないものが有効です。それが早々に2枚切られない限り持ち続けておく価値はあります。

字牌・役牌と違うのは、終盤13巡以降に1枚も捨てられていない「1枚見え1・9牌」であっても、重ねる可能性が十分あるということです。これはメリットのようでもありますが、逆に言えば見切りがつけにくいともいえます。

2・8牌については1・9牌とほぼ同様です。ただ、1・9牌以上に捨てられている数が少ない牌を、残すよう注意するのがよいかもしれません。なぜなら終盤13巡以降に2枚捨てられている「3枚見え2・8牌」の有用性が、1・9牌よりも格段に低くなるからです。

3~7牌については、2・8牌よりもさらに捨てられている数が少ない牌を、残すように注意するほうがよいでしょう。赤のある麻雀では「5」で待ちたいところですが、7巡以降で1枚切られていた場合ですら格段に確率が下がります。なので基本的には、合わせ打ち等で処理をしたほうが無難でしょう。

特に13巡以降に最後の1枚を狙って3~7牌を残す行為は、上記のグラフを見ていただくとわかるように自殺行為です。

七対子は一向聴から聴牌まで平均8巡ほど

さて、ここから何が言えるでしょうか。

統計によると中盤以降には、「生牌の1・9、字牌」のツモ率が4%を超えます。つまり七対子の一向聴は3種類の受入がありますから、「生牌の1・9、字牌」三頭立ての一向聴なら、1巡あたり「4%×3種=12%」の確率で聴牌します。

100÷12%=8.33…巡

終盤にかけて、ツモ確率がさらに上がることを考慮すると、平均して8巡以内には聴牌できそうです。

チートイの難しさは1シャンテンのときにあわられます。テンパイするまでがえらく大変なのです。ツモ1回でテンパイする確率は7.5%で、1シャンテンからテンパイまで平均して14巡かかります。なんとビックリの数字で、流局するまでテンパらない方が普通なのです。

「ロジカル戦術入門」P157

何度か引用してきた上記の内容ですが、間違っているわけではありません。ですが、七対子は残す牌を選べます。それを考慮に入れると、必ずしも正しいと言えません。事実「生牌の1・9、字牌」を選ぶだけで、中盤以降平均8巡ほどで聴牌でき、流局するまでにテンパる方が普通なのですから。

さらにいえば、第2四分位点(50%分位点)は5.5巡です。中盤以降で「生牌の1・9、字牌」を選ぶと、5.5巡の段階で2回に1回以上が聴牌します。そう考えると、体感では思ったより早く聴牌できそうです。

まとめると、一向聴に残す優先順位は、オタ風牌>役牌>1・9牌>2・8牌>3~7牌で、条件に合わなくなれば捨てるという感じでしょう。生牌か一枚切れかは、終盤(13巡目以降)は一枚切れの方が優勢ですが、それ以前は生牌が優勢というデータが「つもりやすい牌ベスト3」にあります。

その他一般的によく言われている山読みの方法ですが、「序盤に捨てられている牌の外側は山に残っている」だとか、さらにそこから発展して「場に安い色は山に残っている」というものがあります。それらは上記に+αしてやっていただくとさらに効果的です。またこれに関しては、別で考察します。

七対子かトイトイか?

さてトイツ5組は七対子イーシャンテンです。そこに鳴ける牌が出てきました。これを鳴けばトイトイのリャンシャンテンです。シャンテン数は戻りますが、他家から牌を鳴けるという点ではスピードアップです。そのまま七対子狙い継続か、トイトイへ向かうのか、どちらが良いのでしょうか。

2・8トイツが多ければトイトイ

「新進プロが伝授する‼ 最新流行手筋」P44・45にはこうあります。

2索2索4索8索8索4萬6萬8萬8萬2筒2筒8筒8筒

2索2索4索8索8索の部分が3索3索5索7索7索ならさすがに無理だが、上記の牌姿なら七対子でじっと頑張るよりもポン仕掛けで電光石火のトイトイ聴牌も十分見込める。

ただそのあとに「これが正解かどうかは、じつは難しいところで結論は出ない」と述べています。そしてこう続きます。

2索2索4索8索8索6萬8萬8萬2筒2筒2筒8筒8筒

アンコが一つあればシャンテン数を落とすリスクもない。8筒8筒4筒4筒でも、5筒5筒でも同じ。ポンをしてトイトイ。悪くとも7萬チーなどでタンヤオでかわすこともできる

まとめると、アンコがあるか、2・8牌で4面子が見込めるならトイトイへ向かう、ということでしょう。これには次に紹介する堀内正人氏の話にもありますが、タンヤオの含みがあることが大きいと思います。ただ個人的には、かなり怖い仕掛けだと感じます。

他の手役を見る

堀内正人氏は「麒麟児の一打」P152~159にてこう述べています。

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南4局・和了トップ、4巡目
2萬7萬7萬1筒1筒6筒1索1索6索6索北北西 出る1索

この場合オーラスの和了トップなのでスピードが最も重要です。通常では打点も考慮しますが、和了ることだけを優先したらトイトイの方が有利です。

ただし、和了トップという条件がなければ、見送ると言っています。そして牌姿が少し変わって、こうなら鳴かないようです。

2萬7萬7萬4筒4筒6筒1索1索5索5索8索8索西 出る1索

今回は中張牌のトイツ4組でタンヤオが見込めます。七対子とトイトイでスピードを競うならトイトイに分がありますが、それ以外の役が狙えるならトイトイよりもいい役を狙った方がいいですね。

さらに他の役との兼ね合いについて、このように述べています

4萬4萬8萬8萬6筒6筒2索2索4索5索發發中 出る6筒

七対子のイーシャンテンですが6筒はポンして中を切りトイトイかタンヤオと發バックの天秤にとります。七対子は他に何もないときの最後の砦みたいな役ぐらいに考えたほうがいいですね。

堀内正人氏はトイトイを狙う基準として「トイツが鳴きやすい」「打点が見込める」「暗刻がある」の三つをあげています。そうでない場合は、基本的に七対子になります。ですがトイトイ以外の役が見えるときは、それを含みにトイトイ仕掛けをするようですね。

個人的には、最初に紹介した「2・8トイツが多ければトイトイ」と比べると、上記の牌姿は發のトイツがある分、安全が担保されています。その点も仕掛けやすいポイントだと感じました。

トイトイはアンコ一つが絶対条件

梶本琢程氏は「麻雀上級者養成講座」P129・130でこう述べています。

ドラ4筒
1萬1萬6萬6萬8萬4筒4筒5筒3索3索8索8索9索

ここからドラの4筒が出るとつい「ポン」をする人が多い。…この手牌の最大の弱点は「暗刻がない」ことだ。仕掛けても聴牌止まりが関の山。ましてやドラポンでは聴牌すら危うい。

続いてこう述べています。

ドラ中
1萬1萬6萬6萬8萬4筒4筒4筒5筒3索3索8索8索西北

両天秤の5筒の場合、有効牌は1萬6萬3索8索西北の六種十四牌。チートイツ決め打ちの4筒切りの有効牌は、5筒西北の三種九牌。トイトイの可能性があるるうちは、切らない方がいいのである。

残念ながら、上記の説明は不適切です。

トイトイのイーシャンテンと、チートイツの聴牌は価値が同じではありません。またトイトイの有効牌は鳴くことができるのに対し、チートイツの有効牌はツモのみです。そういった別条件のものも比較できません。

とはいえ計算すると、和了だけを考えた場合、5筒を切る方が有利なようです。ただそれもポンをツモの4倍と考えた場合であって、果たして本当に4倍もの効率があるのかどうかは不明です。またチートイツは単騎待ちのため、待ち牌選択の自由度があります。そのため打5筒が打4筒と比べてどれほど有利なのかを、具体的に示すのは難しそうです。

梶本琢程氏は「トイトイはアンコ一つが絶対条件」として、少しでも不安な要素があるならチートイツにした方がいいと述べています。確かにトイトイ仕掛けをするにあたって、アンコがあるかないかでスピード感が全然違うのは間違いありません。

翻牌があればトイトイ

小倉孝氏は著書「最強デジタル麻雀」P116にて、トイトイと七対子の分岐点について、次のように述べています。

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東場南家、ドラ3索
1萬1萬4萬4萬2索4索4索西西白發發中

チートイツはツモに委ねなければならず、最後はタンキ待ち。デジタルの考えとしてはトイトイの方がよく、5トイツで翻牌があればポンだ。

さらに小倉孝氏は、こう述べています。

4萬4萬5萬4索4索西西 1萬1萬1萬 發發發
このように、發のみの手に切り替えられる点が、トイトイの利点だと述べています。

4萬5萬4索4索5索西西 1萬1萬1萬 發發發 ツモ3索 打4索 
またこのように、終盤ドラ牌をツモっても、通るところを切って聴牌を維持できる点も、トイトイの利点だと述べています。

個人的には「翻牌があればトイトイ」はやりすぎな気がします。しかし上記の牌姿は西のトイツがあり、それで安全度が担保されています。なので、仕掛けてもいいと思います。ですがイーシャンテン時に中張牌のみになるような仕掛けは、さすがに危険なのではないでしょうか。

役牌二組はトイトイ、一組アンコなしは七対子

井出洋介氏は、「東大流攻撃麻雀」P38・39でこう述べています。

東2局・西家、ドラ5索
1萬2萬2萬2筒4筒4筒6筒7索9索9索西中中

2萬9索はポンできたとしても、要牌の4筒や翻牌は簡単に出てくるとは思えません。

また仮に和了れたとしても、中がトイツのままなら2600点なので、何組もポンして手牌を短くして、他家からのリーチにおびえて手にした結果としては、物足りないとの話です。

ではどういうときにトイトイに行くかというと、P84・85にこうあります。

東4局・北家、ドラ3索
3萬3萬5筒5筒6筒7筒7筒8索9索北北白白 出る5筒

北白ともに三枚にできれば満貫です。たとえイーシャンテンがリャンシャンテンに戻っても、得点が五倍になるなら無理して頑張る価値もあるというものです。

ただしこれは北が役牌だからで、もし北家以外ならアンコのないこの手からは七対子狙いに進んだ方がいいと述べています。つまり井出洋介氏の意見では「役牌二組はトイトイ、役牌一組かつアンコがなければ七対子」となっています。

個人的にはこの基準が一番しっくりきます。ただ次の安藤満氏の意見も、とても参考になります。

字牌は二鳴き、数牌は一鳴き

安藤満氏は「絶対に勝つ定石」P62・63にて、こう述べています。

東2局、西家
3萬3萬1筒2筒2筒9索9索東東西西白中

役牌二組なので、先ほどの井出洋介氏の意見だとトイトイへ向かいます。安藤満氏も基本的には同じ意見です。ですが、その仕掛け方には注意が必要だと言っています。

東西9索をポンして、手の内は3萬3萬2筒2筒という中張牌のトイツ二組だけ。ここでリーチがかかれば、オリるにオリられず、リーチの餌食になってしまう。それを避けるために仕掛け方に工夫をするとおっしゃっています。

字牌は一枚目は見送って「二鳴き」を心がけ、数牌は「一鳴き」するのだ。そうすると、必然的に手の内には字牌のトイツが残ることになり、これは、他家のリーチに対して安全牌にもなる。

個人的には安全を担保しながら仕掛けるという考え方は、とても良いと感じました。ただその方法が上記のもので良いのかどうかは、個別の状況によって変化させる必要があるのではないかとは思います。

七対子かトイトイか? まとめ

5トイツにおける、七対子かトイトイかの判断について、いろいろな意見を紹介しました。

最初に紹介した「新進プロが伝授する‼ 最新流行手筋」の「アンコがあるか、2・8牌(もちろん1・9、字牌も含む)で4面子が見込めるならトイトイへ向かう」は正直やりすぎな気がします。七対子に決めて、安全牌を持つべきでしょう。

堀内正人氏の和了トップの話は、特殊状況なので分けて考えますが、そのあとの「トイトイとタンヤオ、役牌のバックにとる」というものがありました。これは「トイトイ」だけなら、鳴かないという点に注目です。そこに「タンヤオ」と「役牌バック」の保険があることがポイントです。むしろこれは「トイトイ」というより「タンヤオ」に向かった意識の方が強いかもしれません。

そしてもう一つのポイントが「役牌のトイツ」です。これが安全牌として機能している点に注目です。仕掛けが役牌からなら、少し危なっかしい感じを受けます。

梶本琢程氏の「トイトイはアンコ一つが絶対条件」は、確かにアンコがあるかないかで、トイトイ仕掛けのスピード感が全然違います。とはいえそれが「絶対条件」とまでのものかというと、疑問に感じます。

次の小倉孝氏の「5トイツで翻牌があればポン」は、彼の示した牌姿では西がトイツになっていました。安全が多少担保されていますので、その点ではありかもしれません。その部分が中張牌のトイツなら、やはりやりすぎであると思います。

井出洋介氏の「役牌二組はトイトイ、役牌一組かつアンコがなければ七対子」が基準としては一番わかりやすいかと思います。ですが、そこから全力トイトイというのも少し危うさを感じます。

対して次の安藤満氏の「字牌は一枚目は見送って「二鳴き」を心がけ、数牌は「一鳴き」する」は、逆に少し後手になるような気がします。

以上を踏まえて、5トイツからの手順についてまとめましょう。

ここは相手との兼ね合いでしょう。役牌二組なら、役牌の一枚目は見送り、次に鳴ける牌が出てきたら、それがもう片方の一枚目であっても鳴くようにしたいです。でないとさすがに遅すぎます。あるいはスピードが速そうな人がいるなら、役牌一枚目から鳴いていき、安全牌のために次の役牌の一枚目は見送るなど、調整したいです。

役牌一組とアンコの組み合わせでは、役牌一枚目は見送るのを基本としたいです。唯一の役牌を鳴いてしまうと、守備力が激減ですから。役牌のトイツは安全牌として置いておき、ポン聴なら鳴きます。鳴いて進めるなら、安全をある程度確保した状態で進めたいです。

もちろん点数状況や、相手の仕掛け、場況などによって、考えるべきことはたくさんあります。それによって自らの仕掛けをどうするかは、調整する必要があるでしょう。

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